今どきはサウナに行っても、若い男性の4人に一人はデリケートゾーンがつるんつるん、いわゆる「無毛状態」であることに、筆者は戸惑いを隠すことができません。もはや、男性もヒゲだけではなくVIOを含む全身脱毛の施術を受けるのが当たり前になりつつあるのではないかと思うほど、「美の基準」のハードルがどんどんと高くなってきているのではないでしょうか。しかも、男女を問わない「美への執着」は、ムダ毛に覆われていた「性器」にまで及んでいると聞きます。

そんな中、六本木に拠点を構える性器形成を専門とする美容クリニック『veary clinic(ヴェアリークリニック)』が話題を呼んでいます。今回は、当クリニックの院長を務める井上裕章先生から、ここ日本における最新の「下半身リメイク」事情について、いろいろと興味深いお話をお伺いしました。

己の仮性包茎を自ら手術。エリート医師が下半身を実験台にしてまで進んだ性器形成医療の道_1
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女性器を見られたくないから、がんの手術は受けたくない!?

すでに世界的な潮流となっている「男女の美意識の向上」。そして、その究極形とされる「性器形成」のトレンドの加速は、とくに欧米で顕著だと井上先生は指摘します。

己の仮性包茎を自ら手術。エリート医師が下半身を実験台にしてまで進んだ性器形成医療の道_2

「海外で発表された論文では、イギリスは2000年から2010年にかけて婦人科美容手術(=女性器形成手術)が5倍に。オーストラリアでも2.5倍に増えているとの報告があります。僕も、外科医としてがん治療に携わっていたころから、このようなニーズの多さをヒシヒシと感じていました」

男子御三家と呼ばれる名門・麻布高校から(※麻布では300人中トップの成績!)東大医学部に入学。その後、2年の研修期間(初期研修医制度)を経て、がん治療をメインとする消化器外科医に。王道のエリートコースを歩んできた井上先生が「下半身」に特化したクリニックを開院するという、あまりにダイナミックすぎる方向転換へと到ったきっかけとは、はたして……?

己の仮性包茎を自ら手術。エリート医師が下半身を実験台にしてまで進んだ性器形成医療の道_3
veary clinicのカウンセリングルーム

「軸足を本格的に下半身へと移したのは約3年前です。それまでは、病気の代名詞的な“がん”に取り組みたいと真剣に思っていて……。なかでも、薬物療法ではなく、自分の手で治療する(=手術)機会が多い診療科を選びました。

配属されたのは、骨盤臓器(直腸・肛門・卵巣・膣・男性器・膀胱・尿道…など)の手術をメインにやっている“外科”でしたが、そこで働いていた5年ほど前に、ある一人の女性患者に出会ったのです。

その患者さんは直腸がんだったんですけど、まだオペをすれば完治する段階でした。ところが、彼女は『受けたくない!』と、頑なに手術を拒んできて……。

最初は、なにか宗教的な理由でもあるのかと思いました。でも、真の理由は僕にとっては遥(はる)か予想外のもので、『女性器の見た目に強烈なコンプレックスがあるから』でした。オペをするということは当然全裸になって、女性器も我々の前に晒さなければいけない。それがどうしても嫌だと言い張るんです。
『今まで誰にも見せたことがない』と」