メジャーな観光スポットのひとつ手前の駅

「いいなあ、波打ち際は。大きな波が来たぞー。逃げろー」
「海の水って、けっこうあたたかいのね。えいっ」
「あー、やったなー。待てー」
「アハハハ。オホホホ、私に追いつけるかしら」

砂浜に来ると、そんなシーンを夢想せずにいられません。実際にはやったことがないし、もし今やったら即座に転んで顔から砂に突っ込む自信があります。しかし、津久井浜の「やったなー」「アハハハ」をやるにはちょうどよさそうな広さの砂浜に立って、あらためて長年の憧れがよみがえってきました。これも海の魔力でしょうか。

6月の某日、梅雨の合間の晴れを狙って海を目指しました。私の事務所に近い池袋駅から、東京メトロ副都心線の通勤急行で横浜に向かい、京急の快速特急に乗り換えて津久井浜駅へ。約1時間45分の道のりでした。無知で恐縮ですが「津久井浜」という地名は初めて見たし、「浜があるんだろうな」以外に何のイメージも湧きません。

ひとつ先の三浦海岸駅は、いかにもメジャーな字面で観光スポットも多そうです。しかし、そのとなりの駅にはなにがあるのか。「派手な駅のとなりの地味な駅」にこそ、趣もおじさんにとっての見どころもたくさんあるはずです。

こぢんまりした駅を降りると、こぢんまりした自転車&バイク置き場と京急ストア。そして紫を基調とした外観のカラオケスナック。期待通りののどかさです。駅前の周辺案内図を見ると、海はすぐそこ。まずは海岸を目指しましょう。ゆっくり下っている一本道の両側は静かな住宅地ですが、かなり前に店を閉じた気配のお寿司屋さんや和菓子屋さんもあります。かつてはそれなりににぎやかな駅前商店街だったのかもしれません。

京急久里浜線「津久井浜駅」を降りて潮の香りを思いっ切り吸い込んだ_1
「なにもない地味な海岸」を想像していたんですが(すみません)、色とりどりのウインドサーフィンが行き交っていて、かなり華やかでした。さすが三浦半島です