成田凌が味わった「天と地」。前田敦子は「仕事で夢見心地はないかも」_4
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この作品を三木聡ワールドの入口に

——『コンビニエンス・ストーリー』をこれから見る人に、どのように感じてもらえるとうれしいですか?

成田 (日本映画のメッカである)テアトル新宿で流してくれる、イコール、僕が好きな映画らしい映画。不思議な世界観ではあるんですけど、そういう映画らしい映画を、今、映画館で感じられる幸せはあると思います。あと、本当に「三木聡イズム」がここに入ってるので、もしこの作品で初めて三木さんの作品に触れる中学生・高校生の子がいたら羨ましい。ここから、昔の三木さんの作品も見てほしいです。

前田 私も、「三木さんっぽい作品だなぁ」と思いながら見てました。すごく嫌なことがあるわけじゃないし、落ち込むこともない。すごく怖いわけでもないし、どちらかというと笑いながら見てもらえるような作品。だから今の時代、見やすい映画なんじゃないかなって思うんです。誰にでもオススメしやすい、楽しい作品です。

——最後に、三木聡ワールドの魅力、好きなところを教えてください。

成田 演出も面白いですけど、単純に脚本が面白いです。

前田 頭の中が気になるよね。

成田 本当に、頭の中を見てみたい。小ネタも面白いし、言葉のチョイスも面白い。普段からそういうことばっかり考えているんだろうなって思います(笑)。

前田 私はまず、人となりが好きです。

成田 「カワイイ、カワイイ!」って言ってるもんね(笑)。

前田 うん。もじゃもじゃ頭に野球帽をかぶって、メガネかけて、みたいな。そういうのを全部ひっくるめてカワイイと思う。「どこに住んでるだろう?」とか気になって、いろいろ質問しました、私(笑)。

——作風的にはいかがですか?

前田 自分の頭の中を、楽しんで作品に変えている方だと思うんです。子ども心をずーっと持ち続けていて、作品を通してでも人に媚を売らないところも好きです。

成田 あと、本当にいい人なんですよ。そんな昔から大好きな三木さんの作品に自分が出られていることが、不思議で不思議でしょうがない。昔の自分に「三木監督のスクリーンに出たよ!」と言ってあげたいです。

終わり

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取材・文/泊 貴洋
撮影/柳岡創平
場面写真/©2022「コンビニエンス・ストーリー」製作委員会

『コンビニエンス・ストーリー』(2022年)
監督・脚本/三木聡
企画/マーク・シリング
出演/成田凌、前田敦子、六角精児、片山友希、岩松了、ふせえり、渋川清彦ほか
配給/東映ビデオ

スランプ中の売れない脚本家、加藤(成田凌)は、ある日、恋人のジグザグ(片山友希)が飼っている愛犬・ケルベロスに腹を立て、山奥に捨ててきてしまう。その後、探しに戻るが、レンタカーが故障。霧の中のコンビニ「リソーマート」で店員の妖艶な人妻・惠子(前田敦子)に助けられ、彼女の夫のコンビニオーナー・南雲(六角精児)の家に泊めてもらうことに。加藤は、すでに異世界にはまり込んだことに気づいていなかった——。

8月5日(金)テアトル新宿ほか全国公開
公式HPはこちら https://conveniencestory-movie.jp

成田 凌 なりた りょう
俳優
1993年、埼玉県生まれ。2013年、『MEN'S NON-NO』専属モデルとなり、2014年に俳優デビュー。2018年の映画『スマホを落としただけなのに』、『ビブリア古書堂の事件手帖』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2019年の主演映画『カツベン!』で毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。2022年は、映画『ニワトリ☆フェニックス』、ドラマ『逃亡医F』、舞台『パンドラの鐘』などに出演。2023年1月上演の舞台『宝飾時計』に出演予定。

前田 敦子 まえだ あつこ
俳優
1991年、千葉県生まれ。2005年のAKB48結成時からメンバーとして活動。2007年、『あしたの私の作り方』で映画デビュー。2012年にAKB48を卒業し、映画、ドラマ、舞台などで活躍。近年の主な出演映画に『町田くんの世界』、『旅のおわり世界のはじまり』、ドラマに『伝説のお母さん』『逃亡医F』、舞台にNODA・MAP『フェイクスピア』など。映画『もっと超越した所へ。』が2022年10月14日より公開。