前市長の“レガシー”「コンパクトシティ構想」とは
富山市の場合、今回の人口水増しで2026年度の地方交付税額は実際より6000万円程度多くなっていた可能性がある。だが172億円超の交付金総額をみれば割合は小さく、違法行為をするには「割に合わない」との見方もある。藤井市長は人口を水増しする動機は「分からない」と主張している。
しかし富山市に人口減を小さく見せたい事情があるのは確かだと前出のX氏は指摘する。
「富山市は2005年に人口約32万人だった旧富山市が周辺7市町村と合併し、人口約42万人の今の市の形になりました。
当時の市長が始めたのがコンパクトシティ構想だったのです。この構想を進める中で市の幹部は地価の下落とともに特に人口減少にはずっと神経質でした。
今回、2000人程度の水増しに意味はない、と市側は言いますが、合併で初めて届いた40万人の大台を今回調査で割り込んだことは大きく、これを隠したかった可能性はあります。
今の藤井市長は人口減少はやむを得ないとみてそれほど問題視していない雰囲気ですが、前市長時代からコンパクトシティに携わってきた市幹部は、前市長の“レガシー”を守ろうとする意識が強いのです。この問題は合併があった約20年前までさかのぼって解明しなければならないでしょう」(X氏)
富山市はホームページで「富山市が目指しているのは暮らしやすさと豊かさを感じられるコンパクトな街。市内を走る鉄道やバスなどの公共交通のまわりに生活に必要なものを集めていく。(中略)移動しやすく暮らしやすい街です」とコンパクトシティの理念を説明している。この構想がうまく機能してきた、との市の説明に対し、懐疑的な目を向けるのが市議会野党の共産党、赤星ゆかり市議だ。
「市は『人口の自然減はあるが(転入者の方が多い)社会増になっている』とよく言っていましたし、市街地再開発をすごく熱心にやってきました。特定の開発事業エリアではマンションを建てるディベロッパーにも部屋の購入者にも補助金を出したほどです。
けれども、ビルが建て替えられるともともとあった商店が戻ってこなくなったりしているし、再開発対象以外のエリアには、交通の便が悪くなったりして人の数がどんどん減っているところもあります。
駅前の100戸以上あるマンションの所有実態を調べると、住民票を持ちそこに暮らす人がいる部屋は半分だけで、残りはセカンドハウスや投資用に購入されたとみられ、人口社会増が本当に起きているのか分かりません」(赤星氏)













