州全体を対象にした具体的な「領土交換案」
この案が扱うのは、ロシアが全部または一部を占領しているウクライナの4州とクリミアだ。交渉内容を知る関係者によると、米側が示した案の一つでは、南部のヘルソン州とザポリージャ州をウクライナ側に置く構想が示されているという。
東部のドネツク州とルハンスク州からなるドンバス地方、それにクリミアはロシア側に置く。
今の戦線をそのまま停戦ラインにするのではない。双方が軍を引き上げたうえで、州の境に沿って支配地域を交換するという考え方である。
ロシアの主権を正式に認めるのか、それとも領有権の最終的な扱いを棚上げしたまま実効支配を事実上容認するのかによって、提案の意味は大きく変わる。両国がこの案を受け入れられるのかどうかも、はっきりしない。
それでも、州全体を対象にした具体的な交換案が出たのだとすれば、これは大きな転換点になる。
単なる面積の交換ではないことは、地図を見れば分かる
米国でウクライナ、ロシアとの交渉を担うウィトコフ、クシュナー両氏は9月、モスクワでプーチン大統領と会談した後、キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と話し合った。
米ロの双方は中身を明かさないまま、「新たな案」について協議したと説明している。ゼレンスキー氏も、米側から「かなり良い、検討に値するアイデア」が複数示されたと明かし、協議を続ける考えを示していた。
その中核に領土の交換があるかもしれない––––。関係者の話から、そんな見方が浮かび上がる。ウクライナが南部を、ロシアが東部を確保するように国境線を引き直し、4年半以上続く戦争を終わらせようというのが米国の構想だ。
この案が単なる面積の交換ではないことは、地図を見れば分かる。
2022年に侵攻が始まってから、ロシアは南部のヘルソン州とザポリージャ州の広い地域を占領している。この2州は、ロシア本土からアゾフ海沿岸を通ってクリミアへ抜ける陸の回廊になっており、ロシア軍にとっては、クリミアや南部戦線へ部隊や装備、燃料を運ぶための重要な補給路だ。
米国案のとおりにロシア軍がこの2州から完全に撤退すれば、ザポリージャ州の要衝メリトポリや港町ベルジャンスクはウクライナの手に戻る。欧州最大のザポリージャ原発も返される対象になり得る。













