「振り付けが手助けになったらうれしい」

振り付けを考えることにおいて、「一切妥協しない」と話す槙田。そんな彼女が刺激を受けると話すのは、『アバンギャルディ』のプロデューサーであるakaneだ。

「アバンギャルディはフォーメーションダンスですが、akaneさんはアイドルの振り付けではちゃんと歌詞をとっているんです。その歌詞の解釈の仕方が、“うわ、こうやるんだ”と、自分の発想にはなかった斬新な選択肢ばかり。

それを見ると、“やっぱり限界ってないよな”と思っちゃう。それは、脳みそが違う時点で同じ曲でも同じ振りは絶対に出てこないから。

例えば、10人を集めて“好き”という気持ちをポーズで表現してくださいとお題を出したら、絶対バラバラのことをやると思うんです。ハートを作ったとしても、ハートの位置や形はきっと人それぞれ違うはず。

自分の思考に慣れちゃうと同じようなものが浮かぶので、なるべく凝り固まらないようにと頑張っています」

2026年春には、CUTIE STREETが韓国の人気歌番組『M COUNTDOWN』に出演。「かわいいだけじゃだめですか?」で韓国語バージョンを披露して、大きな話題を集めた。槙田は、「振り付けが、より多くの人が楽曲を好きになるきっかけになれば」と語る。海外の音楽シーンと日本のアイドル文化の違いについて、槙田は自身の経験からこう感じているという。

「最近、韓国が日本の可愛い文化に反応していますよね。それこそ「かわだめ」(「かわいいだけじゃだめですか?」)がめっちゃバズったり。

アメリカや韓国は実力主義で完璧なものを好む傾向があると思っています。一方で、日本はミスも愛す文化がある。求めるものに違いもあります。でも、なにかのきっかけがあれば、日本のアーティストも世界に進出していける可能性はあると信じています。

世界に出ていく時に、振り付けが手助けになったらうれしいですよね。ダンスは共通言語だから。今、音楽を広めるにあたってダンスの存在は必要不可欠だと思うんです。振り付けの価値みたいなものが、もっと上がっていけばいいなって思います」

日本の“カワイイ”が国境を越えつつある今、彼女が生み出す振り付けは、アイドルたちが世界へ羽ばたくための最も力強い翼になる。楽曲の魅力を最大限に引き出す「最適解」を追い求める槙田紗子。ダンスが音楽に魔法をかけ、世界を動かすその瞬間を、私たちはこれから何度も目撃することになりそうだ。

取材・文/羽田健治
(撮影/山田智絵)

振付師・槙田紗子(撮影/山田智絵)
振付師・槙田紗子(撮影/山田智絵)
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