個人経営の塾・習い事は日本版DBS対象外

末冨 もちろん、この法律が施行されれば、万事解決というわけでありません。日本版DBSでは、示談になったケースは犯歴確認の対象外となります。また、加害者が未成年のときに起こした性犯罪については、システム上照会されません。

斉藤 制度の限界があるのですね。

末冨 個人経営の塾や習い事はこども家庭庁の認定事業者の対象外です。イギリスでも同様で、これについては政府がしばしば保護者に注意を促しています。

写真はイメージです
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斉藤 クリニックでプログラムを受けている人のなかには、日本版DBSを肯定的にとらえる人が少なくありません。小児性愛症の診断を受けた性加害者のなかには、子どもの姿を目で追うこと自体、再犯のトリガー(引き金)になってしまう人もいます。そういった人にとっては日本版DBSの制度が、自分を子どもがいる環境からある意味強制的に隔離してくれるわけです。あるプログラム受講者は、「この制度は加害者を間接的に守る法律だ」とも口にしていました。

ちなみに当院のデータによれば、性加害者のうち小児性愛症の診断を受けている人の約7割が「子どもに関わらない仕事」に就いていました。そういう意味では、残る3割にとって日本版DBSは有効だといえると思います。

末冨 圧倒的多数が学校や保育園などの「外」で加害行為に及んでいた、と。

斉藤 加害者は監視の厳しい環境を避ける傾向があります。そのため、今後は「子どもに関わる仕事には就かず、別の場所で子どもに加害をする」といったケースがさらに増えていくことを懸念しています。