本当に怖いのはAIが暴走することではない
SNSの微妙な変化、経営者の声色、文章の変化、投資家心理、資金移動。人間が勘と呼んできたものまでデータへ変換し始める。そのとき投資家は初めて、本当の意味でAIと競争することになる。そして私は、その時代には株式市場そのものの意味さえ変わると考えている。
人間が企業を評価し、人間が未来を想像し、人間が値段を決める市場から、AIがAIの判断を読み、AIがAIを出し抜こうとする市場へ。その市場で、人間は主役なのか。それとも観客なのか。
私はまだ答えを持っていない。しかし一つだけ確信している。
これからの投資家に必要なのは、AIより速く計算することではない。それは最初から勝負にならない。AIと同じ答えを出すことでもない。それならAIに任せればいい。必要なのは、AIがなぜその答えを出したのかを疑うことである。
市場参加者の誰もがAIを信じる時代が来るなら、最大の投資機会は、AIが間違えた瞬間に生まれる。そして最大の暴落もまた、そこから始まるのかもしれない。
前の記事で、私はこう書いた。
「AIはブームではない。時代そのものである」
今回は、その言葉に一つ付け加えたい。
AIが株式市場を支配する日、本当に怖いのはAIが暴走することではない。
世界中のAIが、同時に「正しい」と判断することである。
文/木戸次郎 写真/shutterstock













