「活字V.S.(バーサス)漫画論争!の巻」(ジャンプ・コミックス89巻収録)
今回は、漫画をくだらないものと決めつける部長に、文化的パラダイムシフトが訪れるお話をお届けする。
もともと部長は作中で、自分がリアルタイムで経験していない娯楽文化全般を徹底的に否定する「良識的な大人」の役割を担ってきた。両さんの好きなプラモ、漫画、ゲーム、競馬などは、部長にとっては全部「くだらないもの」なのだ。
だが本作が描かれた1994年は、サブカルやポップカルチャーがイケてるもの、オシャレなもの扱いをされはじめていた時代だ。本作の翌年に放送されたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の社会現象化により、アカデミズムや各産業からのすり寄りが盛んに行われるようになった。
昨今では、地方が「アニメで街おこし」を掲げ、国が「クールジャパン戦略」などと言い出すに至っている。
部長は本作中、高名な大学教授である絵崎教授のひとことであっさりと趣旨替えし、漫画を「勉強するように」読みはじめる。だが本作中で絵崎教授が述べているように、アカデミックな意義も海外での評判もビジネス的利用価値も一切関係なく、「おもしろい作品はおもしろい!」のだ。それを忘れにようにしたい。
それでは次のページから、両さんと部長の漫画をめぐる文化摩擦がもたらす大論争をお楽しみください!!