「現金コレクターの巻」(ジャンプ・コミックス181巻収録)

今回は、日本軍が戦時中に発行した軍用手票が登場するお話をお届けする。

超神田寿司の女将・夏春都(ゲパルト)が持っていた古銭・古紙幣に目をつけた両さんは、その中にあった軍用手票をちょろまかすが……?

軍用手票とは、軍が軍費をまかなうために占領下、勢力下で発行した疑似紙幣のこと。資金到達のため通過を大量に発行・流通させることによるインフレ→経済破綻を招くため、国の通貨制度とは切り離して疑似通貨として使用された。正確には通貨ではなく信用通貨(手形)なため、第二次世界大戦敗戦後の日本ではその価値を失ったという……。

夏春都が持っていたのは、1941年以後に日本軍が占領したアジア太平洋地域の各地で発行された「大東亜戦争軍票」の一種「と号券」で、太平洋地域で使用された疑似通貨。イギリスの貨幣単位「ポンド」となっているのは、その地域で発行されていた通貨の単位をそのまま採用しているためだ。

夏春都の夫、貴一廊(きいちろう)は、1923年に夏春都と結婚。第二次世界大戦に工兵として従軍し、戦死している。敗戦後に紙切れ同然となった軍票を夫の形見としなくてはならなかった夏春都を思うと、やるせない。

それでは次のページから、軍票を使ってのひと儲けのつもりが、意外ななりゆきを見せるお話をお楽しみください!!