「全室が個室で外からの鍵はかけていませんでした」
国勢調査では65歳以上の高齢独居世帯は2000年の303万世帯から2020年には672万世帯と倍増したというデータが公表されている。身寄りのない高齢者が増加傾向にある中、介護業界は深刻な人手不足が叫ばれ続けている。そんな中、凄惨な事件が起きてしまった。
現場は、日本でもっとも透明度の高い湖である摩周湖や道東の秘湯として親しまれる川湯温泉など、多くの観光名所を有する北海道弟子屈町にある高齢者福祉施設。社会部記者が語る。
「佐藤容疑者は100歳代の女性に無理矢理性交した疑いで逮捕されています。犯行を目撃した施設のスタッフが佐藤容疑者を部屋に戻した後に、女性は容体が急変し、病院に運ばれましたが、死亡しました。司法解剖の結果は病死で、事件との因果関係や動機を道警は詳しく調べています」
現場となった高齢者福祉施設は、JAが運営していた。施設の担当者が言う。
「全室個室で外からの鍵はかけていませんでした。なので本人の意思でどの時間帯でも部屋を出ることができました。事件をうけて対策を取ることはすでに決まっていますが、詳細については回答を差し控えております」
佐藤容疑者は同施設に入居する前から弟子屈町で生活をしており、40年ほど前は家族と幸せそうな時期もあったそうだ。当時の知人が語る。
「いつも笑っているようなやつだったな。当時は川湯温泉街で1、2番を争う高級旅館の番頭をしていたよ。懐石料理とか出している和風の宿で値段も高かったね。まだバブルが弾ける直前くらいのころで、温泉街にも流れ者っていうのか、どこかの街から流れてきた人間が多くいた時代でね。人手も年中足りなかったから仕事もあったし、それでちょっと働いて、気付いたらまたどこかに流れていなくなってるってことがよくあったんだ。佐藤もそういう流れ者だったと思う。ただ、当時は家族がいて、娘が美人だった記憶もあるよ」