調べによると山下容疑者は6月18日午前2時ごろから6時半ごろにかけ、同マンションの1室などで田川星華ちゃん(4)の腹部を圧迫するなどの暴行を加え、翌19日に死なせた疑い。星華ちゃんは19日に嘔吐を繰り返して意識を失い、母親と山下容疑者が病院に搬送したが、死亡した。
腹膜炎が広範囲にわたり、十二指腸に穴が開いていたことから、同病院から虐待の可能性があると通報を受けた県警が捜査していた。山下容疑者は「全く身に覚えがありません」と容疑を否認しているという。
山下容疑者は星華ちゃんの母親と今年1月にSNSを通じて知り合い、4月ごろからは週末になると母娘の住む同マンションを訪れるようになったという。社会部記者はこう語る。
「県警は母親のスマートフォンに顔などにアザをつくった星華ちゃんの写真が複数枚保存されていたことなどから、山下容疑者が早い段階から虐待をしていたとみて調べを進めていました。そして5月に星華ちゃんの顔を殴って全治2週間のケガを負わせたとして8月16日に山下容疑者を傷害容疑で逮捕、9月5日に奈良地検が同罪で起訴、翌6日に“本丸”の傷害致死容疑で再逮捕したという流れです。山下容疑者はいずれの罪状についても『全く身に覚えがない』と完全否認の構えです」
山下容疑者による虐待は日常的に繰り返されていた疑いがあるが、虐待はそれだけでは収まらないようだ。事件を受けて記者会見した奈良県高田こども家庭相談センターは、星華ちゃんについて3年前から「虐待の疑いがある」という通報を受けていたことを明らかにした。
星華ちゃんと母親は2020年9月に別の県から同センターが管轄する橿原市に転居。同年10月下旬に「こどもを怒鳴ったり叩いたりしている」という通報が相次いで2件寄せられたため市が調査に訪れたが、このときは外傷など虐待の兆候を確認できなかった。
しかし、同市移住前にも星華ちゃんは「虐待のおそれあり」と一時保護されていた経緯も明らかになり、同市は見守り対象として家庭訪問を続けていたという。
そして今年5月12日には星華ちゃんが受診した歯科医から「左目が充血しており、山下容疑者にやられたと言っている」と同センターに通報があり、同17日に市が母親に聞き取りをしたものの、この際も虐待の兆候が認められなかったという。
山下容疑者とは、いったいどんな人物なのか。祖父母の代から住んでいるという大阪府門真市の自宅周辺を訪れてみた。山下容疑者は母と祖父母と同居し、近くにもう一軒ある家に父が住んでいるようだ。
「ああ、山下さん。あのお宅はもともと翔也くんのお母さんの実家ですね。家族構成でいうと翔也くんと3〜5歳離れた弟、ご両親、祖父母の計6人ですか。どのタイミングか詳しく覚えてないけど、お父さんが『子供が生まれて手狭になったんでもう一軒借りた』と言ってたのがもう一軒の家で、一時期は両方の家を行ったりきたりしてましたわ。保育園のイベントには家族総出で来てましたし、兄弟ともご家族みんなに可愛がられていましたよ」
近所に住む女性はさらに続けた。
「ご両親とも気性が激しいというか、ヤンキー気質というか。お父さんは小柄だけど作業着にサングラス姿の強面で、お母さんも茶髪のヤンキー風です。翔也くんは小学生のころはよく友達を叩いていて、それも加減がよくわからずにやっていた印象がありますね。高校生になると髪を金髪に染めたりもしていました」