富津市で水揚げされるマアジはみな黄金アジだ

――富津市では一時、「マアジ」も獲れていませんでしたが、「黄金アジ」となるとさらに希少ですよね?

「正直あいまいですよね。これが黄金アジという規定がないので。僕は富津市で水揚げされる『マアジ』を『黄金アジ』だと言っています。僕は富津産というくくりのアジを『黄金アジ』だとずっと言っています」

――地元の方は体が金色に光ったアジだけを「黄金アジ」といい、「黒アジ」は別扱いしています。A店では「黄金アジ」といって実際は黒アジを提供することもありますか?

水揚げされた黄金アジ(撮影/集英社オンライン)
水揚げされた黄金アジ(撮影/集英社オンライン)

「要はお店の人達の認識しだいじゃないですかね。色は小さいのはキラキラしていますけど、大きいのはそんなキラキラはしてないんですよ。キラキラがとれてきちゃうんで」

――キラキラしていないのは「黒アジ」になりませんか?

「うーん、だから認識の違いですよね。種類の違うアジではないので。よく『黒アジ』のことを『くろっけ』って言いますけど、そもそも『黒アジ』って種類のアジはないと思うんですが。サバをアジって言って売ったら問題ですが、同じ『マアジ』ですからね。僕もこんなこと言われていい気分はしないので、逆に今後は市をあげてきちんと(黄金アジを)ブランド化してほしいって思いますよ。うちは単に妬まれているんだと思います」

見せてくれた黄金アジ(撮影/集英社オンライン)
見せてくれた黄金アジ(撮影/集英社オンライン)

店主の主張は、明らかに地元の「黄金アジ」の認識とは異なるようだ。だが地元の飲食店の店主はこれを真っ向から否定する。

「富津市の『黄金アジ』は数が獲れないので、年間を通して毎日提供するのはかなり難しいです。もちろん冷凍しておけば年間を通して出せるかもしれないけど、最近の富津市の漁獲量からすると『本当にそんな大量の黄金アジを仕入れているの?』と疑問に思いますね。黒アジを混ぜているだけじゃなく、富津産ではない他の産地のアジを使っているとしか思えないくらいマアジは獲れていなかったんですよ。それで『富津産黄金アジ』と言われるのは残念ですね」