ヘルスよりソープのほうが楽

清楚でおとなしく、優等生っぽい女の子は中年のいわゆる非モテ層に好かれる傾向がある。一般的に「キモい」と呼ばれがちな中年男性だ。彼らの性処理だけではなく、恋愛対象にもなったりする。また、気が強くない女性や子供に強く出るタイプの男性客も一定数いる。反撃されそうにない女の子は、そのような男性からのハラスメントも受けやすい。非モテ層の中年男性をうまく転がす女子も多いが、ロリ系、学園系で働く女の子たちは同じ風俗の仕事でも、嫌なことや我慢しなければならない場面が多い。

「好き、大好き、付き合ってほしいとか、そのとき未成年の私に本気でいってくるおじさんって、どういう人生歩んだらそうなるのって思いました。毎日、毎日通ってプロポーズしてくる人もいて、親より年上の人から向けられる感情ってなんか変な気持ちになる。怖いし、しんどい。あと、本番強要ばかりっていうのもあって、疲れてしまって大学2年に進級したときにソープに移りました」

すすきののソープランドは有名だ。客の支払いが1万~1万5000円程度の安価な店が繁華街に点在し、老舗の格安ソープ街として全国区の知名度となっている。

「ヘルスよりソープのほうが楽。ヘルスだと本番ないから、口とか手で抜かなきゃならない。だから、体力的にキツい。顎は疲れるし、足が痛くなったり。本当に体力的にキツくて。ソープランドをやってみたらもうすごく楽でした。コンドームつけてヤッちゃえば、あとは相手が頑張ってくれる。だから、卒業までこのままソープで働こうと思っています」

風俗店が現役女子大生だらけになっている理由。ソープランドの個室からオンライン授業に参加する嬢も…_4
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ソープランドは代表的な店舗型風俗で、先ほど伝えた店舗型ヘルスの行為に加えて、マットプレイや本番セックスをする。風営法では〝ソープランド〟と明記されて認められている存在だが、本番提供をするので売春防止法に違反している。

法的にグレーな業態で、ソープ嬢と男性客のセックスは〝自由恋愛〟という建前で「管理売春ではない」ということになっている。また、ソープ嬢が手にするお金は源泉徴収税が引かれない〝地下マネー〟であり、ほとんどの女性は税金を払っていない。



文/中村淳彦 写真/shutterstock 

#1『上野公園のハトの方がいいものを食べてる』 はこちらから

貧困女子の世界
中村淳彦
2023/6/6
880円
288ページ
ISBN:978-4-299-04392-4
貧困「底なし沼」
会社員 女子大生 シングルマザー 風俗嬢……

「カラダを売れなくなったら死ぬしかない」

一度堕ちたら抜けられない
「貧困スパイラル」

「大学生なので風俗で働くのは仕方ないです」
「上野公園のハトのほうがいいものを食べている」

衝撃のドキュメント!

恋愛経験のない処女が風俗勤務し、女子大生がソープランドの個室でオンライン授業を受け、シングルマザーが「パパ活」で生活費を稼ぐ――止まらない国民の貧困化。最大の「被害者」は若者と女性だ。停滞する賃金、上がり続ける税金と学費。女子大生は風俗で働くことを半ば強制され、単身中年女性はカラダを売っても生活できない状況まで追い込まれた。「貧困女子」という言葉が一般化しておよそ10年。本書は彼女たちの告白に耳を傾け続けてきた著者による記録の集大成である。

停滞する賃金、止まらないインフレ、そして世代間格差――。働いても働いても貧困から脱出できない若年層の女性たち。彼女たちのリアルな現実は、主要メディアではほとんど報道されることはない。未成年売春、ホス狂い、風俗、虐待、奨学金……過酷な境遇にある女性たちの生き様を『東京貧困女子。』などの著書があるノンフィクションライター・中村淳彦氏が活写する。
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