「重要な情報を提供する」と女性記者を呼び出し、大量に酒を飲ませ…

「記者が非常に重要な情報を得る場で、アルコールを利用して、意識を喪失するような状態にして、性暴力に及んだ。加害者は国会議員の公設秘書。国会議員とは、上田清司氏です」

3月8日、都内で行われた弁護団の会見
3月8日、都内で行われた弁護団の会見
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3月8日、女性の弁護団は東京都内で会見を行った。
この公設秘書とはA氏(事件当時・54)。大学時代に上田氏の選挙スタッフを務め、大学卒業後は上田氏の公設第一秘書などを経て、2000年に埼玉県志木市議に初当選。その後、市議を4期務め、2016年4月に埼玉県知事を務めていた上田氏の特別秘書となった。

野党系の埼玉県政関係者が、A氏について振り返る。

「上田氏は2003年から2019年まで4期にわたって知事を務め、その後、参院議員になりました。A氏は上田氏の『子飼い』として、上田氏が知事時代には特別秘書、参院議員になってからは公設秘書を務めましたが、仕事ぶりも、言動も、物腰も、超地味。偉ぶることもなく、淡々と仕事をしていた印象しか記憶にありません」

しかし、「お酒を飲むと人が変わってしまう」という噂もあったA氏から、女性記者は2度被害を受けたという。

弁護団によると、2度の事件が起きたのは、いずれも2020年3月下旬。このころは、東京都の小池百合子知事が新型コロナウイルスをめぐって「感染爆発の重大局面」と緊急の記者会見を行い、週末の不要不急の外出を控えるように呼びかけるなど、首都圏を中心に自粛ムードが高まりつつあった時期だ。
連日、コロナの感染拡大がニュースに取り上げられ、記者の取材テーマもコロナばかりになり始めた3月24日、女性記者は上田氏の後援会事務局長から誘われ、コロナ対策について情報交換する懇親会に参加した。懇親会は埼玉県内の寿司屋で開かれ、自民党衆議院議員、事務局長や参院議員を務める上田氏の公設秘書となっていたA氏など、男性5人と女性記者の計6人が参加したという。

上田清司参院議員の公設秘書が、準強制性交容疑で書類送検後に自殺「女性記者に大量に酒を飲ませ、マンションのエントランスでも…」_2
女性記者に性的暴行をしたとされるA氏(本人フェイスブックより)

男性たちに日本酒を注いでいた女性記者は、逆にその都度、飲酒をすすめられ、コース料理が終わるころには眠くなってしまい、半分意識を失うような状態になった。
事務局長から「女性記者を送っていってね」と言われたA氏は、女性記者とともにタクシーに乗り込んだ。酔っぱらってしまった女性記者が寝てしまっているのをみて、胸を揉むというわいせつ行為に及んだという。

わいせつ行為に気付いた女性記者は「やめてください」と拒否したが、A氏は力ずくでキスをし、陰部にまで手を回し触った。女性記者は途中でタクシーから下車したが、降りた先のマンションのエントランスでも、わいせつ行為にあってしまう。
それから3日後の27日、A氏は「政党の分裂・再編の動向や、会派結成の動向に関する重要な情報を提供する」として、女性記者を寿司店に呼び出した。当時は、立憲民主党と国民民主党の合流や、上田氏の新党結成の意向が話題となっていた時期だった。

このときも、A氏は女性記者に大量に酒を飲ませた。前後不覚の状態になってしまった女性記者を大宮のラブホテルの部屋に連れ込んだ。酩酊し、抵抗できない女性記者を全裸にして、強制性行為に及んだ。女性記者が目を覚まし、トイレで吐いた後も、力ずくで組み伏せたうえで、避妊具をつけずに性行為や口淫を強要したという。
女性記者は、3月28日に法律に詳しい元同僚や弁護士に相談、出血もあったため産婦人科クリニックを受診している。