「疑わしい」と思った結果、9割が実際に不倫していた

「事実は小説よりも奇なり」と言われますが、2003年に探偵社「MR」を設立してから、約26万件もの「不倫調査」の相談を受けてまいり、その間、数多くの信じられない事案に接してきました。中でも印象的だったのは、不倫の発覚によってすべてを失い、名誉も人望も社会的信頼も地に落ちてしまい、絶望の淵に立たされた人、一方、不倫の事実を受け入れ、逆に夫婦間の理解が深まって円満になった人など、時折こちらの予想をはるかに上回る末路に遭遇しました。

実際に調査を行ったところ、約9割は不倫や浮気をしていることが、弊社の調査データからも判明しています。夫や妻がいつもと違う態度や行動や言動を取り、「何か怪しいかも」と思った時は、既に何らかの変化が起こっていることが多いようです。

一口に「不倫」と言っても、男女の愛憎の複雑さは、答えのない迷路のようなものです。男と女の数だけ、千差万別。怒り、嫉妬、恨み、悲しみ、憤り……など、様々な感情が渦巻き、一つとして同じものはありませんでした。

そこで、私が探偵の立場から目撃した、愛人に執着するあまり思いがけない手口を用いた不倫の例をご紹介したいと思います。

確信する妻、尻尾を出さない夫

依頼者は夫に不倫関係の女性がいることを確信していた。ただし、それは妻の第六感であり、確たる証拠も気配も露ほども掴めずにいたのである。
そこで最後の頼みの綱と思って弊社に調査依頼を寄せてきたのだが、最初のヒアリングで「夫は絶対浮気しています。それは確信しているのですが、いつどこで、どんな女ということまではまったく見当もつきません」と語っていた。

しかし、悲壮感はなく、夫の不倫を是が非でも突き止めたいという強い意志が感じられ、なんとなくそれを楽しもうとしている節も垣間見られた。探偵との打ち合わせでも、依頼者はとても協力的で、まずは事前チェックをしてみようとの提案も二つ返事で引き受けてくれたのである。

数日後、依頼者から連絡があった。夫の行動を正確に記録したところ、平日は定時に帰宅し、週末だけ趣味のランニングに1時間ほど出掛けていくのみ。たまに休みの日は、友人に会って来ると言って出掛けるのだが、2時間ほどで帰宅。「駅前の喫茶店で話してきたよ」と、不倫をする時間はなさそうな状況であった。

スマホのメールもロックがかけられて確認できず。また怪しい人からの電話やこそこそ話している姿も目撃していないという。しかし妻は浮気を信じて疑わない。

「だって事前チェックに書いてあったように、夜の営みをこちらから求めても拒否をするようになりましたし、外から帰ってくるとすぐにシャワーを浴びるんです。キーホルダーにも私の知らないカギがありました。やっぱり怪しいんです」