コロナ禍でオフィスを離れ、ホテルや旅館で仕事をする人、ワーケーションをする人が増えている。
実際、興味はあるものの「どんな宿を選べば良いだろう?」というのは悩みどころ。
月に1回以上ワーケーションをしている筆者としては、チェックしてほしいポイントは2つ。1つは、客室や共有施設に働きやすい環境が揃っていること。もう1つは、気分を切り替えるのにおすすめのバケーション要素を備えているかということだ。
今回は、東は岩手県、西は沖縄県までに及ぶ5つの施設を紹介。湯治、サウナ、ジム&プール、海水浴、飲み放題……など気になるバケーション要素からワーケーションのための宿泊施設選びの参考にしてほしい。
仕事×休暇を両立! 長期休暇前後に行きたいワーケーションが捗るホテル・旅館 5選
Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語、ワーケーション。コロナ禍でオフィスを離れ、ホテルや旅館で仕事をする人も増えている。この記事では、東は岩手県、西は沖縄県までワーケーションにおすすめの要素が揃う宿泊施設を5つ紹介する。
岩手県八幡平市「新安比温泉 静流閣」

岩手県八幡平市にある「新安比温泉 静流閣」は、湯治体験もできる施設。
東北自動車道「安代インター」から車で3分という好立地で秋田、青森、岩手、三県の観光拠点としてもおすすめの宿だ。電車の場合でも、東北新幹線「盛岡駅」からJR花輪線に乗り換え、「荒屋新町駅」から徒歩約20分で向かえる。さらに事前に予約をすれば送迎もしてくれるので、車がない方も安心だ。
周囲には何もない山里の一軒宿だからこそ、思う存分仕事に集中できる。
休憩時間や仕事後には、海水濃度の2倍以上の塩分を含む天然温泉にゆっくりと浸かって至福のひとときを! 疲労回復や美肌効果も高いと言われているので、数日間過ごせばリフレッシュできることだろう。

また、同施設は2022年4月からワーケーションルームとコワーキングスペースを創設。元々は和室だった客室を洋室へと改装し、ワークテーブルの設置や防音性の高い施工を実施することで、より仕事に集中しやすい環境を整えた。
加えて、希望者には人脈豊富な女将と若旦那が、八幡平市の商品・サービスを展開する企業や個人と、利用者をマッチングするサービスもスタート。ワーケーションの滞在先で思わぬ出会いがあるかもしれない。
長野県軽井沢町「星野リゾート BEB5軽井沢」

長野県軽井沢町にある「BEB5軽井沢」は、星野リゾートが運営する“時間を気にせずルーズに過ごす”をテーマにしたホテルだ。
しなの鉄道「中軽井沢」駅から徒歩15分程の場所にあり、徒歩圏内に軽井沢の観光地がぎゅっと集まっている。ホテルと同じく、星野リゾートが運営する「ハルニレテラス」や「星野温泉 トンボの湯」、野生動物ウォッチングができる「ピッキオ」もすぐだ。
仕事に取り組むときにおすすめなのが、24時間使える開放的なスペース「TAMARIBA」。ウッドデッキの中庭を取り囲むようにカフェやライブラリーが配置され、電源付きのテーブルや無料のWi-Fiを利用できる。
2022年5月31日まで販売中の「温泉付き高原ワーケーション」プランを利用すれば、カフェで販売されているコーヒーが飲み放題。さらに飲食物の持ち込みも自由なので、敷居を高く感じることなく、自分のペースで仕事に打ち込める。
気候の良い季節なら、ホテル内だけでなく星野エリア内にあるカフェテラスで自然を感じながら仕事をするのもおすすめだ。

テレワークに没頭して、凝り固まった思考を切り替えたい時に利用したいのが「星野温泉 トンボの湯」。客室にもお風呂はあるものの、せっかくなら源泉かけ流しの露天風呂とサウナを備える立ち寄り湯でリラックスしたい。また、サウナ室内はJAZZが流れ、窓からは森林浴も楽しめる……とサウナーの中でも高く評価されている温浴施設だ。
筆者の初めてのワーケーションはここ「BEB5軽井沢」だった。フリーランス仲間と集まり、2泊3日でワーケーション合宿を開催。
日中は「TAMARIBA」やカフェテラスで働き、観光をしたくなったら時間の空いた人を募って散策へ、夜にはボードゲームを楽しみ、1杯飲んだ後にまた仕事。朝早く起きて、のんびり森林浴をした後にトンボの湯でひとっ風呂……と、各々自由に過ごしながらも、集中して仕事に取り組めたのを覚えている。
東京都港区「アンダーズ 東京」

「東京にいながら、非日常気分でワーケーションをしたい!」という人におすすめなのは「アンダーズ 東京」だ。
東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」より徒歩約3分の場所、虎ノ門ヒルズ 森タワーの中にある同ホテル。上質な時間の流れるラグジュアリー ライフスタイルホテルながら、自宅にいるかのようにくつろいでもらうことをコンセプトにしている。
客室は全室50㎡以上と広々。さらに客室階が47階〜50階に位置するため眺望も抜群。のびのびと気持ちよく仕事に取り組めるだろう。
宿泊者なら誰でも24時間利用できる「アンダーズ ラウンジ」があり、コーヒー、紅茶などのソフトドリンクやスナックを自由に楽しめるほか、18時〜20時の間にはワインなどのアルコールやカナッペも提供される。

仕事前後にリフレッシュしたいときは、37階にある「AO スパ&クラブ」内のプール・フィットネスエリアの利用がおすすめ。こちらも宿泊者なら無料で利用でき、都心では珍しい炭酸泉プールやバーデプールなど充実した水のエリアも充実している。
ホテル内には、ハンバーガーやクラフトビールが自慢の「BeBu」やメインダイニング「ザ タヴァン グリル&ラウンジ」、絶景を眺めながらミクソロジーカクテルを楽しめる「ルーフトップ バー」などもあり、バリエーション豊富な飲食が楽しめる。さらに、ホテルの隣のビル・虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー内には「虎ノ門横丁」をはじめとした飲食店も多いので、数泊しても飽きずに過ごせるだろう。
ここでもワーケーション経験があるが、観光地やリゾートホテルではなく、シティホテルでのワーケーションは、普段の自分よりワンランクアップしたような気持ちで臨めるから不思議だ。アンダーズ特有のクリエイティブで洗練された空間に身を置くことで感覚が刺激されると共に、所作も美しくなり“デキる女”になったかのような錯覚を覚えた。
京都府京都市「梅小路ポテル」

京都駅より徒歩15分、京都観光の拠点としてもおすすめなのは「梅小路ポテル」だ。ポテルとは「Port」と「Hotel」をかけた造語で、港のように価値ある出会いがいきかい、そこからご縁をつなげて欲しいとの想いで建てられたという。
JR山陰本線「梅小路京都西」駅から徒歩約5分の場所にあり、徒歩圏内には西本願寺や東寺、京都水族館などもある。ホテルの目の前には梅小路公園が広がるので、仕事の合間に身体を動かすのもおすすめだ。
ホテルは5階建てで、本棟と別棟で構成。本棟2階から5階部分の共用施設「あわいの間」には、階ごとに本やレコード、ボードゲームといったテーマごとの空間があり、仕事の合間にリフレッシュできる。
また、「あわいの間」2階ではチェックイン後から、アルコールやソフトドリンクをセルフ&フリーで楽しめるサービスも用意しており、ドリンクを客室内に持っていくことも可能。コーヒーを飲みながら仕事、終わった後にすぐビールを飲めると思うと、作業も捗りそうだ。

別棟には「梅小路銭湯 ぽて湯」があり、宿泊者は無料で利用できる。サウナと水風呂も備えているので、気分転換にととのうのことも可能だ。
筆者が同施設でワーケーションをして感じたのは、客室内、あわいの間、1階のカフェ、さらには屋上にあるテラスと、さまざまな場所で働けるので気分転換になったということ。また、目の前の梅小路公園で遊ぶ子どもの声を聞いていると、宿泊しているというよりも暮らしているような気分で過ごせたのもよかった。
沖縄県恩納村「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」

沖縄本島屈指のリゾート地、恩納村エリアにありながら“島全体がホテル”というユニークなロケーションのホテル「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」は、リゾートでのワーケーションが叶う場所。
屋内外のプール、海水を用いたラグーンのほか、ホテル目の前の瀬良垣ビーチでは、シーカヤックやSUP、シュノーケルやダイビングなどのアクティビティも提供している。アクティビティが豊富なので、自身が仕事していても、家族や同行者が飽きずに過ごせるだろう。
とはいえ、せっかくのロケーションなのでここではメリハリを大切にしてワーケーションに取り組みたい。

全客室がバルコニー付きのオーシャンビューなので、海を眺めながら仕事に取り組める上、開放的なロビーラウンジもワークスペースとして利用可能だ。フロントでは、コピーやFAXの対応もしてくれるのもありがたい(有料)。
また、ワーケーションで利用する宿泊客も多いため、5泊以上の宿泊を対象とした「ワークフロムハイアット」プランなども販売している。
「せっかくの沖縄で仕事なんてもったいない……」と思う人も多いだろう。しかし、沖縄の気候や天気、空の色や海の色……普段と違う環境に身を置くことで、癒やされつつも集中できるのだ。真っ青な空に透き通った海、南国特有の珍しい植物に囲まれ、まるで海外にいるかのような気分も味わえるのだから、それもまた一興だろう。
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