ライブもフェスも、喜びには負担が伴う

――2022年の夏はフェスが戻ってきて、TOSHI-LOWさんの所属する2つのバンド、BRAHMAN、OAUともに多く出演されていますが、出演者やお客さんの雰囲気はどう受け取っていますか。

今年は出演者もお客さんも待っていた状態だから、「よかったね」「やっぱりフェス、いいよね」っていう空気があることには間違いなくて。ただこれが来年、再来年と続いていくと、開催することが普通になって、「あってもなくてもいいじゃん」みたいに戻っていくから、そういう感覚とは違うフェスを作りたいなってずっと思っていて。

「限りある人生で何をしたいか。そこに答えがある」 BRAHMAN/OAU  TOSHI-LOWの思い_01

音楽もフェスも日常の一部であっていいんだけど、単なる生活の延長ではないと思っているから。家でYouTubeをつけて音楽を聴くのと、行って聴くのとは全然違うし、その場に行くというのはある意味、非日常だし。

なんでもそうだけど、喜びには必ず負担が伴う。フェスやライブに行くことに関しても、自分たちの人生を懸けながらやるっていうことは、ある意味、理解してほしいっていうか。今、フェスの敷居が下がりすぎていて。いろんな人に来てほしいって集客してるけど、誰でも行っていいお祭りの延長とはまた違うと俺は思ってるから。

出演者も、商品見本市みたいになってくると、それが起きちゃうと思ってて。客も目当てのバンドだけを観に来るし、バンド側も、自分たちだけをよく見せて、宣伝できればいいって考えを持ってる人も多いからね。場を愛せないんだったら、出演しなければいいと思う。結局それがお互いの質を下げるから。