「大人の恋愛は“話が早い”って聞きましたけど?」
なのに、私たちは友達以上恋人未満というか…(4)

仕事のパーティーで出会った“運命の彼“との、他愛もないメールのやりとり。休日は充電がなくなるほどメールして、平日は「おはよう」から「おやすみ」まで。サチは心の底から幸せを実感していました。

メールだけでなくて、もう一度会って話がしたい。そう考えたサチは、出会った日に話題にのぼった「終活の本」を貸すのを理由に彼に会うことを思いつきます。

しかし、彼からの返信の内容は意外なものでした。

「終活って? まだお若いのに…」

あの日、あんなに盛り上がった話題なのに、そう思っていたのは私だけだった?

サチの心のなかにわずかに灯った疑念に追い打ちをかけるように、女友達がこう言います。

「あれだよ、気をつけなね。『私、いま中学生みたいな恋してる』とか言ってる奴、だいたい不倫してるから。相手に奥さんがいないことを祈ってますね」

わかりやすく浮かれるサチの様子は、傍から見たら男に騙されて不倫をしているように思えたのかもしれません。彼が嘘をついているはずがない、そう思うサチでしたが、最初に出会った日以来、一度も会えていないのは事実でした。

そしてサチの日常はここから、思わぬ方向へ進み始めるのです。

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「大人の恋愛は“話が早い”って聞きましたけど?」けれど、私たちは友達以上恋人未満というか…(4)_1
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『わたしが誰だかわかりましたか?』(KADOKAWA)
やまもとりえ
「大人の恋愛は“話が早い”って聞きましたけど?」けれど、私たちは友達以上恋人未満というか…(4)_2
2023年2月16日
1188円(税込)
単行本‎ 192ページ
ISBN:978-4046821805
バツイチ子持ちで、誰かを信じることに疲れ切っていたある日、同じバツイチの男と運命的な恋に落ちた。でも、そう思っていたのは私だけだった?
40歳を過ぎての恋、反抗期の息子、産婦人科に通う友人…平凡な物語はやがて、予想を覆す結末へ。
他人を信じるとは、信じた人に裏切られるとは何か。「人を信じること」の意味を問いかける、最後の1コマまで先の読めない衝撃のセミフィクション。
全ページフルカラーで描く、やまもとりえ渾身作。
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