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個性的な登場人物の描き方

––キャラクター作りに苦労されたという、山小屋で働く三姉妹(沢子、稜、華歩)が誕生するまでの経緯を教えてください。

連載を目指してネームを作るにあたって、何度もボツをもらいながら、必死にキャラクターを練りました。でも、いくら描いてもヒロインのOKが出なくて…。その原因は詰め込み過ぎてしまうことだったので、ヒロインを3人にして、キャラクター性を分配してみました。そしたらバランスよく、感情移入して描きやすい三姉妹が出来上がったんです。

【漫画あり】富士山の山頂付近で打ち合わせやネーム制作。アウトドアコメディ『やまさん〜山小屋三姉妹〜』がリアルな描写で溢れる理由_1
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––三女・華歩を追って山を訪れるメインキャラクター「西園寺」についてはいかがでしょうか。

三姉妹を中心としたネームを作って連載会議に出したあと、「読者目線の人物が必要だろう」とフィードバックがありました。西園寺はそのときに生まれたキャラクターです。3姉妹を作るのにかなり苦労したので、それなら男性で考えようと。

年齢は成人でもよかったのですが、女性3人が働く山小屋にいても違和感がないキャラクター、ということで三女と同じ高校生で、性格は三女の真逆にしました。やや幼いキャラクターだと感じている方もいるかもしれませんが、物語的にはすごくフィットしたと思っています。

【漫画あり】富士山の山頂付近で打ち合わせやネーム制作。アウトドアコメディ『やまさん〜山小屋三姉妹〜』がリアルな描写で溢れる理由_2

––ほかにも、山小屋を手伝いに来てくれる「桜場さん」や個性的な登山客たちが登場しますよね。そういったキャラクターづくりにも苦労されるのでしょうか。

実は、そこにはあまり困ってないんです(笑)。山で働きながらたくさんの個性的な人たちに出会ってきたので、その人たちを思い出しながら描いています。特定のモデルがいるわけではないですけど。こうやって振り返ってみると、漫画を描こうと思った理由、作品のテーマ決め、キャラクター作りまで、これまでの経験がすごく私を支えてくれていますね。

––まるで少年漫画のようなお話ですね。

そうですよね。熱い展開です(笑)。