中国が侵略戦争を起こさない理由

中国においては、裕福な層である2〜3億人が社会を動かしているため、残りの11億人ぐらいが悲惨な生活をしていても、社会としては安定する。そのため、中国共産党が政権を握って以降、大きな変化はない。

そのことは、中国4000年の歴史を見てもわかる。

中国は春秋戦国時代の内乱期に、諸侯が各地に群雄割拠した時代もあるが、基本的には皇帝がいて、科挙という「公務員試験」に合格した優秀な官僚が民を支配するという構図がずっと続いてきた。昔は科拳の合格者、今は共産党員が各地方に散らばり、日本の昔の代官のようにその上地を統治し、裕福な層はますます富み、それ以外は全員奴隷のような生活を送っているのである。

そしてそれは、専制君主の時代も、共産党の治世でも変わらない。

領土が広く、人口が14億人もいるのだから、中国が本気で侵略戦争を起こすとは考えにくい。実際、中国が自ら戦争を起こしたことは過去の歴史を見てもあまりない。アヘン戦争も日中戦争も攻められてばかりだ。

元のクビライの時代はたしかに外征が多かったが、その点をウィキでは「モンゴル王朝で初めての中国風の元号(中統)を立て」と説明されており、要は中国においては「モンゴル王朝」という位置付け。今のモンゴルが中国を征服したという特異な歴史であったといえる。

それを除くと、中国が自ら戦争を仕掛けたのは中越戦争(1979年)ぐらいだろうか。この戦争ですら、ウィキでは中国の立場から、「『対越自衛反撃戦』と呼び、ソ連・ベトナム連合の侵攻を恐れての行動と主張している」と説明されている。