海賊版サイトの象徴

2022年7月28日、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)の会員である株式会社KADOKAWA(以下、KADOKAWA)、株式会社集英社(以下、集英社)、株式会社小学館(以下、小学館)は、出版コンテンツの海賊版サイト「漫画村」の運営者に対し、総額約19億円の損害賠償を求めて3社共同で提訴した。請求の対象となった作品は、3社合計で17タイトルとなる。

「漫画村」は、コミックスや漫画雑誌をはじめ、一般雑誌、写真集、文芸作品といった出版物を違法で掲載していた海賊版サイトだ。違法にコピーされた出版コンテンツ約8200タイトル(約7万3000巻相当)を“タダ読み”できるWEBサイトとして、検索や口コミなどを介して2017年頃5月頃から急激に広まり、最盛期の月間アクセス数は1億に迫るほど利用者数が増加。漫画家や原作者、出版社などに対する経済的損失の大きさから、社会問題にも発展した。

その後、「漫画村」は著作権に関する違法性が問われ、同サイト運営者は著作権法違反の罪で2019年9月に逮捕。懲役3年、罰金1000万円、追徴金6257万1336円の有罪判決が言い渡されている。

「漫画村」は2018年4月に閉鎖されたが、同サイトの犯罪収益モデルが与えた影響は甚大で、今日の海賊版サイトの跋扈につながる大きな流れを作ってしまった。

出版3社が「漫画村」運営者に総額19億円を請求! 刑事罰だけで事件を終わらせない。_1
海賊版サイト「漫画村」に対する損害賠償提訴を発表。左から一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会・専務理事の久保田裕氏、同協会・事務局長の中川文憲氏、原告代理人・弁護士の中川達也氏、原告代理人・弁護士の前田哲男氏、一般社団法人ABJ・広報部会長兼法務部会長の伊東敦氏