副業マッチングサービスが急成長した「2つの要因」

開始わずか2年で2万人の登録者を集めたのは、株式会社クラウドワークスが立ち上げた「クラウドリンクス」だ。クラウドリンクスは、「副業でスキルや経験を発揮したい個人」と「副業人材に仕事を依頼したい企業」をWeb上でマッチングさせるプラットフォームとしてサービスを開始し、2022年4月末時点では登録者数28,000名を突破した。登録者は30代〜40代のビジネスパーソンがメインだが、50〜60代のシニア層も全体の約2割を占める。

クラウドリンクスは立ち上げてから2年間、有料広告などは出稿せずに、短期間で多くの登録者を獲得した。なぜ、そのようなことができたのだろうか。クラウドワークスの取締役執行役員でクラウドリンクスの事業責任者を務める大類光一氏は、その理由をこう明かす。

「働き方改革、コロナ禍などを経て、企業が副業を解禁する動きが活発化しています。それに呼応するように、Googleトレンドなどのツールで調査すると『副業』と検索する人がここ数年急増しています。このニーズを捉えるために、クラウドリンクスではSEO対策を徹底して行いました」

大企業も”副業”に熱視線。開始2年で登録者2万人を突破した副業マッチングサービスの裏側_1

さらに、クラウドリンクスはより多くのビジネスパーソンの支持を得るために、サービス内で発注される案件の内容を見直した。
これまで副業といえば、特定のスキルを活かして仕事を請け負うケースが多かった。例えばクラウドソーシングのサイトを見ると、ライティングやデザイン、最近では動画編集などが目立つ。

このようなスキルを持つ人にとって、副業に対するハードルは比較的低いだろう。しかし、特定のスキルを持たないビジネスパーソンは、副業を始めたくてもできないという状態に陥ってしまう。

副業マッチングサービスを成長させるには、このギャップを解消する必要があるのではないかーー。そこで、クラウドリンクスでは特定のスキルを持たないビジネスパーソンでも副業にチャレンジしやすいように工夫を凝らした。

「クラウドリンクスに掲載されている副業は、いわゆる”プロジェクト型”のものがほとんどです。クラウドソーシングで掲載されている副業と異なり、コミュニケーション能力やマネジメント能力など総合力が求められるため、会社員として活躍するビジネスパーソンがより力を発揮しやすく、副業に対する第一歩が踏み出しやすくなっています」

このコンセプトが、ビジネスパーソンにヒットした。自らの能力を社外でも発揮したいと考えている、大手企業やGAFAなどの外資系企業に勤める優秀なビジネスパーソンが次々と登録。サービスの急成長の一因となった。

そして登録者の急増は、プロジェクトを発注する企業を呼び込むことにもつながった。しかも中小企業やベンチャー企業だけでなく、かつて副業禁止を掲げていた大企業も副業人材を求めて、クラウドリンクスを活用するようになったのだ。