新・早稲田の伸びしろ
早稲田というチームは歴代、もともと能力の高い選手が多いため、これまでにもうまくハマったときにはものすごい爆発力を発揮していた。
また、瀬古利彦や渡辺康幸、大迫傑、はたまた現監督の花田といった多くのレジェンドランナーを輩出しているように、“個”の育成を重視しており、従来は“質”を追った練習(すなわちペースが速い練習)が多かった。
ただし、それゆえにその反動も大きかった。特に近年は、試合ごとに波があったのも事実だ。
「去年まで、相楽(豊)さん(前監督で現在はチーム戦略アドバイザー)がスピードを強化してきてくれたので、今年は、私のほうでスタミナ強化をやり始めた。これを2年、3年と重ねていけば非常に面白いチームになれるかなと思います」
花田監督がこう話すように、今の早稲田は伸びしろを感じさせる。
今季の前半戦は、井川の活躍ばかりが目立つことが多かったが、ここにきて、石塚、山口、伊藤大志(2年)、佐藤航希(3年)といった選手が本領を発揮し始め、箱根でポイントとなる区間を担える選手がそろってきた。
花田監督は「2年、3年と重ねていけば…」というが、2、3年後といわず、今度の箱根駅伝に向けても、箱根予選会、全日本大学駅伝からさらに上積みを望むことができそうだ。
取材・文・撮影/和田悟志