レースごとに増す安定感

花田監督はコンディションなどを考慮しつつ、約1週間前に設定タイムや順位を選手たちに言い渡しているという。

例えば、今夏は例年以上にスタミナ強化を重視して走り込んでおり、9月後半は選手の疲労がピークに達していた。そのため箱根予選会は、コンディションが上がり切っていない状態で迎えていた。

実際、石塚陽士(2年)は、8月末にコロナに感染した影響もあって「6〜7割の状態」(花田監督)。本来であればエース格のひとりが、まだまだ本調子とはいかず、チーム内5番手の51位という成績だった。それでも、花田監督の想定は50位だったので、ほぼ想定内の順位だったというわけだ。

チームトップの井川に関しても「練習が7〜8割くらいしかできていなかった」と不安視しながらも、1時間2分35秒というタイムを課していた。結果は1時間2分39秒で9位(日本人選手2位)。花田監督の期待に応え、きっちりエースの役割を果たした。

もちろん、レースは気象などの外的要因にも大きく左右されるので、全員が全員、いい走りを見せられたわけではない。

それでも、指揮官の見立て通りの走りを見せる選手が、増えてきているのは確かだ。その割合も確実に上がってきている。指揮官が、選手たちの出力をうまくコントロールしていると言い換えることもできるだろう。だからこそ、選手たちも安定して力を発揮できている。