「正直、もっと働いて稼ぎたい」30代ドライバーも語る複雑な胸中

男性が指摘した「2024年問題」とは、2024年4月にトラックドライバーへの時間外労働の上限規制が始まり、従来のような長時間労働を前提とした輸送体制の見直しが迫られたことで生じる、輸送力不足などの問題を指す。

時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間で、労使間で特別条項付きの36協定を締結した場合でも、年間960時間を超えることはできない。あわせて、ドライバーの拘束時間や休息期間に関するルールも見直され、年間の拘束時間は「原則3300時間以内、労使協定による例外でも3400時間以内」となった。さらに、拘束時間には運転や荷役、荷待ちの時間だけでなく、休憩時間なども含まれる。

これまで運送業界では、長時間労働や慢性的な人手不足が問題となってきた。ドライバーの健康を守り、過労による事故を防ぐうえで、こうした規制には大きな意義がある。

一方、従来のように長時間働くことが難しくなれば、残業代などが収入の大きな割合を占めていたドライバーにとっては、収入減につながる可能性もある。

豊洲市場で働くベテランドライバーも、現在の働き方について複雑な思いを抱いている。

「今は2024年問題で働ける時間が決まっています。もっと働きたいと思っても、時間の制限がありますから。大手のドライバーと話していても、同じようなことを言っていますよ。もっと働きたいという人もいる。やっぱり、働いて稼ぎたいという気持ちはありますからね」(中小運送会社ベテランドライバー)

では、若い世代のドライバーは、この制度をどのように受け止めているのだろうか。大手運送会社に勤務する30代の男性ドライバーにも話を聞いた。

「制度が変わってから、正直なところ、もっと働いて稼ぎたいという気持ちはあります。社内でも、若い人ほどそう思っているんじゃないでしょうか。やっぱり肉体労働ですから、体力のある若いうちに稼いでおきたいという気持ちもあります。やればやるほど稼げるというのが、この仕事の魅力の一つだったと思うんです」

2024年以前のように「もっと働きたい」という30代ドライバー
2024年以前のように「もっと働きたい」という30代ドライバー

世代も勤務先の規模も異なる2人のドライバーから、共通する思いが聞かれた。もちろん、長時間労働を望まないドライバーもいるだろう。家庭との時間を大切にしたい人や、体力的な負担を減らしたい人にとって、労働時間の短縮は歓迎すべき変化でもある。

そもそも、残業代に頼らなければ生活に必要な収入を得られない賃金構造になっているのであれば、それ自体が解決すべき問題だ。

ただ、今回の取材では、もっと働いて収入を増やしたいと考えるドライバーがいることも浮かび上がった。

ここで考えるべきなのは、規制をなくして以前の長時間労働に戻すことではない。

ドライバーの健康や安全を守りながら、労働時間を短縮しても十分な収入を得られる環境を、どう整えていくかという問題ではないだろうか。

国土交通省も、運送業界では全産業平均と比べて労働時間が長く、賃金水準が低いことを課題として挙げてきた。労働時間の規制だけでは解決できない、賃金や労働条件の改善も問われている。