転落事故をどう防げばいいのか

それでは子どもの転落事故はどのように防げばいいのか。

まず、東京都やこども家庭庁が繰り返し呼びかけているのが、「短時間でもベランダのある部屋に幼い子どもを1人にしない」ということだ。

ただ、「親がずっと見ていれば事故は防げる」と考えるだけでも十分ではない。

消費者安全調査委員会の分析では、保護者が在宅していたか、不在だったかによって事故の発生状況に有意な差はみられなかった。仮に在宅していたとしても、子どもがすでに身を乗り出した段階で気付いたのでは、転落を止めることは難しいとも指摘している。

在宅していたとしても、日常生活の中で、子どもから一瞬たりとも目を離さないことは不可能だからだ。「気をつける」ことは何より大切だが、それだけでは事故は防げないと言えるだろう。

そこで、加えて実施したいのが「物理的な対策」だ。

子どもが窓を開けられない、手すりをよじ登りにくい環境をあらかじめ作っておくことが重要である。

そこでまず設置したいのが、ベランダにつながる窓の補助錠だ。

補助錠(撮影/集英社オンライン)
補助錠(撮影/集英社オンライン)
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国土交通省の「子育てに配慮した住宅と居住環境に関するガイドライン」では、ベランダにつながる掃き出し窓について、子どもが容易に解錠できないダイヤル錠にするか、子どもの手が届かない床上150センチ程度以上の位置に補助錠を設けることを示している。

その効果について、消費者安全調査委員会はかなり踏み込んだ分析をしている。

検証したベランダからの転落死亡事故92件について、掃き出し窓がダイヤル錠になっていたか、想定される高さに補助錠など「2つ目の錠」が施錠されていたなら、「全92件を防止できた可能性がある」としている。

ただし、補助錠だけで十分というわけではない。消費者安全調査委員会の報告書には「掃き出し窓付近やベランダに足掛かりとなる物がなく、子どもがそのような物を持ち運んでいないこと」という前提がついている。

なので同時に実施したいのが、ベランダに「足場になる物をなくす」ことだ。

ベランダの手すり近くに、椅子、テーブル、プランター、ごみ箱などを置いてはいけない。エアコンの室外機については、手すりから60センチ以上離して設置するか、上からつるすことが推奨されている。また、動かせて足場になる物はベランダに置きっぱなしにしないのも大切だ。

手すり自体の構造もチェックしたい。国のガイドラインでは、子どもが容易によじ登れない形状にすることに加え、手すり子同士の隙間は11センチ以下、手すりの最下部と床面などとの隙間は9センチ以下とすることが示されている。

事故を起こさないために、家庭の環境をいま一度確認したい。

文/集英社オンライン編集部