「1999 K-1(けいいち) REVENGE!!の巻」(ジャンプ・コミックス118巻収録)
今回は、事故により両さんと中川の人格が入れ替わってしまう? お話をお届けする。
いわば「ニセの中川圭一」と「ニセの両津勘吉」が同時に誕生するわけだが、外見も性格も経済力も真逆な2人の入れ替わりが起きたら、はたして……!?
人格の入れ替わりは、物語において繰り返し用いられるアイデアのひとつだ。
日本のエンタテインメント作品では、山中恒の児童文学『おれがあいつであいつがおれで』を原作とする、映画『転校生』(監督:大林宣彦)が圧倒的に有名だ。少年と少女の人格が入れ替わる青春もので、多くの後続作品に強い影響を与えている。
近年大きな注目を集めた作品としては、2016年に公開されたアニメ映画『君の名は。』(監督:新海誠)が挙げられるだろう。
さて、この人格入れ替わりネタ、漫画においてもたびたび使われているが、『こち亀』においては1999年に描かれた本作が初となる。
そして本作後には……麗子と両さんによる入れ替わりを描いた、本作の麗子版ともいうべき「カトリーヌ勘吉!?の巻」(ジャンプ・コミックス119巻収録)が登場している。
さらにその後も、再度麗子との入れ替わりが起こる? 「ステレオ漫画の巻」(ジャンプ・コミックス197巻収録)、両さんが麗子の愛犬になりすましてセレブ犬の日々を満喫する「両さんの「犬の生活」!の巻」(ジャンプ・コミックス129巻収録)、天国で魂の管理をするカードシステムの不備によって、世界中のあちこちで人々の人格が入れ替わってしまう、マイナンバー制度を茶化した「マイソウルナンバーの巻」(ジャンプ・コミックス199巻収録)など、実にさまざまなエピソードが登場している。
各作とも発想の独自性からはじまり、入れ替わり描写のおもしろさ、オチに至るまで創意工夫に満ちている逸品揃いだ。気になったものから読んで見てほしい。
それでは次のページから、両さんと中川の入れ替わり騒動をお楽しみください!!