「文豪・両津勘吉先生の巻」(ジャンプ・コミックス57巻収録)

今回は、両さんが小説界の期待の新星として祭り上げられ、文豪になるお話をお届けする。

普段、文章を書くといえば始末書くらい……という両さんがどうして? また本作は、漫画と小説が同じページの中で同時進行するという、極めつきの実験作でもある。そのできばえは……ぜひ読んでお確かめいただきたい。

とろこで『こち亀』が、これまで何度か小説化されているのをご存じだろうか。

まずは、1995年に刊行された『こちら葛飾区亀有公園前派出所 両さんの下町少年時代編』。アニメ脚本家の小山高生(こやま・たかお)によるものだ。

去りゆく友のために、閉鎖された跳開橋を開かせようと奮戦する「勝鬨橋ひらけ!の巻」(ジャンプ・コミックス71巻収録)、足立区千住にかつて存在した球場を舞台にした「光の球場!の巻」(ジャンプ・コミックス82巻収録)、旅芸人一家の美しい娘との淡い初恋を綴った「浅草七ツ星物語」(ジャンプ・コミックス76巻収録)といった、両さんの少年期を活写した屈指の名作群がノベライズされている。

これが好評を受けて、翌1996年に第2弾も発売されている。

続いては、東野圭吾、京極夏彦、柴田よしき、今野 敏、逢坂 剛、大沢在昌といった、とんでもない大物ミステリ作家たちの手による短編を集めた『小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所』。『新宿鮫』の鮫島刑事や『池袋ウエストゲートパーク』のマコトと、両さんが共演している。これは、『こち亀』連載30周年記念(2006年)と「社団法人日本推理作家協会」設立60周年(2007年)がジョイントして実現した企画だ。

さらに、『こち亀』連載40年記念企画として2016年に刊行されたのが、『VS.こち亀 こちら葛飾区亀有公園前派出所ノベライズアンソロジー』。こちらでは、『おそ松さん』『魔術師オーフェン』『チア男子!!』『ガールズ&パンツァー』『ハルチカ』『謎解きはディナーのあとで』と、『こち亀』がクロスオーバーしている。

本作のあとに、いずれかの小説版を読んでみるのも一興だ。

それでは次のページから、小説をテーマにした異色の『こち亀』をお楽しみください!!