“マンツーマンシフト”となっていた大黄金展
古物営業法は刑事処罰以外に盗品の帰属についても定めている。盗品と知っているか、不注意で盗品であることに気づかなかった場合には、被害者に無償でブツを返す義務があると定めている。盗品であることにまったく気づく余地がない状態で買い取っていれば、古物商のものと認められる場合もあるが、盗難から1年以内に持ち主から返還請求されれば無償で返す義務がある。
「今回、純金茶わんの作家側は『作品は(高島屋側に)引き渡し済みだ』と説明しており、茶わんの所有権は高島屋や大黄金展の運営会社にあった可能性もあります。所有者が作家であれ、高島屋や運営会社であれ、返還を求めれば、B買取店は捜査が終わった後に返さなければならなくなります。
すると、B買取店はA買取店に払った480万円分が『損失』として残り、A買取店は300万円の儲けを得たままになるかもしれません。B買取店がA買取店から480万円を、A買取店が堀江容疑者から180万円を、それぞれ取り戻せれば話は簡単ですが、生活保護を受け借金もあったとみられる堀江容疑者が弁済するのは簡単なことではないでしょうし、AがBに480万円をすんなり返すかどうかは不透明で、A、B間で損害分を折半することになる可能性もあります。
高島屋側は恥ずかしい話題を集めましたが、金銭的な被害は事実上ないことになる可能性があり、関係者は『これでまた宣伝になったかもしれない』とか言う始末です」(社会部記者)
堀江容疑者は純金の茶わんを盗んだ際、無施錠のアクリルケースからリュックサックに茶わんを放り込み、盗まれたことにガードマンが気づいたのは20分もたってからだった。高島屋は事件の後も予定通り4月15日まで大黄金展を開き、販売や買い取りを行なった。
「事件後は入場制限をして会場に入れる客を20人前後に絞り、会場内では客一人に対しスタッフが一人付いて目を光らせる、ほぼ“マンツーマンシフト”を敷いていました。それでもお客さんは減らず、会場に入るまでに30~40分もならぶ羽目になりました」と最終日に会場を訪れた男性は話した。
こうして東京での大黄金展は幕を閉じたが、事件の後始末はまだまだ終わらない。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班