「贅沢は公園をブラブラして花をみることくらい」
独特な表現をする父親だが、それだけ生活が苦しかったのだろう。普段から、外食などはもってのほかだったという。
「なるべく金かからないようにするには自炊しかないですよ。私がつくってました。1日2食の方が多いですね。昼は大体飛ばして。バナナ1本くらいにして。お金のためです、こっち(東京)は物価が高いから。ちょっと買ったら千円、二千円すぐ飛んじゃうんで。朝はみそ汁つくって、ふりかけでご飯食べて。昼はもしお腹すいたらバナナ。
私は食べない方がいいんですけど。あいつは自分でカップ麺買ってきたりして、お腹がすいた時は食っていました。最低限のお金しかもらえないんです。もうそれ以上は一切出ていない。一円たりとも出ていない。そりゃそうですよ。みなさんの税金でね、私らそれで生かされてんだから。それで十分。
贅沢するといえば、2人で歩いて、まあ公園ぶらぶらしたり。まあ、そんなもんです。今だったら花がいっぱい咲いているからね。『ああ、東京にはこんな花があるんだな』とか。それが私は幸せなんですね。2人で歩けるのが」
確かに、堀江容疑者の犯行後の行動は、父親の説明をなぞるようだ。1000万円を超える値札がついた純金茶碗を“たった”180万円で売り飛ばしたのも、父親に打ち明けた借金の額に近い。本が好きで、かつては向学心にも燃えていた青年に魔が差したとしたら、どんな背景があったのだろう。父親の独白は後半に続く。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班