「子どもたちが気遣ってくれている」(里親Aさん)
県教委の設ける壱岐市での部会は5月27日に開かれ、除籍や基準の決定は8月中に行なう見込みという。
また、佐世保こども女性障害者支援センター(児童相談所など3機関の統合施設)は取材に対し、「個別の事案については関与してるかどうかの有無も答えられない決まりになっております」と回答。
しかし、関係者は「虐待の有無は線引きが難しいことではあるけど、今も里親さんの元で里子さんを預かっているということが現状どういう判断をされたかを物語ってますよね」と話しており、虐待はなかったという判断をしたとみられる。
一連の経緯について、改めて里親Aさんに話を聞いてみた。
Aさん(以下、同) 5月1日に児相の方が数名来られて、1時間半くらいいろいろな話をしました。その中で、子供たちが口を揃えてうちに残りたいと言っていて、そこを判断したと仰ってました。
怒ったり躾けたりも別室で30分もすれば虐待と捉えられかねないよとも注意されましたが、子供たちが虐待と思ってなくて、自分が怒られた理由もちゃんと理解していて、なおかつうちに残りたいと全員が言ったからということでした。
ただ行き過ぎないためにも、児相に勧められたペアレントトレーニングを受けることになりました。実親であっても一歩間違えれば通報されて保護されるお子さんもいるように、第三者目線で虐待かどうかは難しいですけど、うちの子たちは誰も(児童相談所が)保護(する)って判断にもなってませんからね。
――今も里子として残っている子供たちの様子は?
1年実家に戻っていたけど、やっぱり壱岐が楽しいからと『再来』で戻って来た子がいるんです。その子なんかは久しぶりに来たからテンションも上がってて賑やかですよ。
新規で決まっていた1人も、直前まで今回のいろいろな件を踏まえたうえで相談を重ねて、本人の判断で壱岐に来ましたよ。
元からいた4人は僕ら夫婦が大変な思いをしてると気遣ってくれてるなと感じます。積極的に家のこと手伝ってくれたり、場を盛り上げようとしてくれたりとか、学校で褒められた話なんかもたくさんしてくれて、僕らを喜ばせたいっていうのが伝わりますね。
――里子の実親たちとはどのような話し合いをしていますか?
実親さんたちは変わらず協力的で、夏には親子一緒になっての応援イベントをしようかという話もしてくれてます。
僕ら夫婦がペアレントトレーニングを受けてからになりますが、聞き取りとかはもう全部終わったので、あとは離島留学をどうすればよくしていけるか関係機関と協議して、前向きに取り組んでいけると思います。
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亡くなった隼都さんがAさん方で過ごした楽しい時間や、高校で勉強や部活動に打ち込んだり、中国語の教員を目指して将来について真剣に考えていた様子などは過去に詳細を既報している。
壱岐の留学制度に関わっている里親も児童・生徒も実親についての経緯や現状も、可能な限り取材して伝えたつもりだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班