――山内さんとゴルフの関わりを辿っていくと、今ようやく結ばれたのではという感じがします。
なんですかそれは? うん!? でもその表現当たっているかもです。記憶にはないんですけど、小学校に上がる前に、おもちゃのゴルフクラブで楽しそうに遊んでいる写真が残っていますから。それが私とゴルフの出逢いでした。
――で、実際にゴルフを始めたのが……
小学校3年の時です。ゴルフをやりたい!というのを告げて、父に中古ショップで7番アイアンを買ってもらい、その足で練習場に直行。むちゃくちゃ楽しくて、夢中になって力いっぱいアイアンを振っていました。
――そこからは、ゴルフ一筋?
はい。週2回レッスンプロの方に教えていただき、週末は行ける時に両親とゴルフ場に行くという生活が2年くらい続きました。小柄なのにダイナミックなスイングで280ヤードを超えるショットをする横峯さくら選手に憧れて「私も横峯選手のようになりたい!」と思っていました。

女性芸能人№1ゴルファーと評判の山内鈴蘭「ゴルフはずっとそばにいてくれる幼なじみみたいな存在」
女性芸能人で一番ゴルフがうまいタレントは?というアンケート調査で、見事1位に輝いた山内鈴蘭がSKE 48を卒業後、さらにゴルフに向かって猛烈アタック! ゴルフLOVEの熱い想いを語り尽くした。


――ところが、中学受験を機に中断せざるを得なくて……?
そうなんですよ。ゴルフ部のある中学に入りたくて猛勉強。努力が実ってなんとか合格した矢先、そのゴルフ部は廃部になってしまって。嘘だっ!? 何それ? が〜んです(笑)。
――そしてさらなる試練が……。
中学3年で、初めてジュニアの大会に出た時ですね。千葉の鎌ヶ谷カントリークラブで行われた関東ジュニア選手権の予選に出場。私的には当時のベストスコア96で回れたのである程度納得はしていたんですけど、自分より2歳、3歳下の子たちが70台、80台で回っていて……。
ショックというか、私は今まで何をやってきたんだろうと疑問を感じるようになってしまって……。今振り返ると、ただただ自分が甘かっただけなんですけどね(苦笑)。
――それでゴルフではなくアイドルを目指すことに?
それは、ちょっと違います(苦笑)。ゴルフが嫌いになったわけじゃなくて、日本テレビでカメラマンをしている叔父から「気分転換に遊びに来ない?」と誘われて、篠原涼子さんが主演を務めていたドラマの撮影現場に行かせていただいたんですけど、篠原涼子さんがものすごくキラキラと輝いていて。それでゴルフをする以前から、ダンススクールに通っていたことを思い出したんです。
――それがきっかけで、AKB48第六回研究生(9期生)オーディションを受けたんですね。
そう…なんですけど…まさか通るとは思っていなかったので、最初は両親にも内緒にしていて。最終審査まで残った段階で、はじめて両親に実は……と話をしたんです。そしたら――。
――当然のように、反対された?
怒りもしなかったし、反対もされませんでした。アイドルを目指すのか、それともゴルフを続けるのか、自分で考えて一つに決めなさいと父に言われて。後悔しないようによく考えなさいと。考えて考えて、こんなに考えたのは人生始まって以来というくらい考えて最終的に私の結論として「ゴルフをやめます。アイドルを目指したいです」と、両親にお願いをしました。

鈴蘭を救った言葉
――ゴルフとは…決別宣言ですね。
私としては、ゴルフもアイドルも二足の草鞋を履くのはどちらも100%で挑めないのではないか?と思ったし、ゴルフはお金もかかる事だからこそ「諦めます」と言ったのですが、父からそれは違うと言われて。
――芸能界で挫折したら、またいつでもゴルフに戻って来いと?
いえ、そうじゃなくて。ゴルフをやっていることは、芸能界でもきっと生きるからこのまま続けなさいと。お金のことは心配しなくていいから、芸能界とゴルフ2つとも頑張れって言ってくれたんです。
だから、正確にいうとゴルフとはお別れしたたわけじゃなくて、ずっと私を見守り心の支えになってくれた幼なじみというか…そんな存在なんです(笑)。

――確かに48グループ時代、横峯さくらさんばりの豪快な260メートルのドライバーショットを披露するなど、ゴルフはいつも山内さんの隣にいた感じがします。
本当に父には感謝です。あの時父が「ゴルフも頑張れ!」って言ってくれなかったら、今の私はないですから。それだけじゃありません。48グループ時代は、定期的にゴルフコンペを開催させていただき、そこでも多くの方に出会って支えられ、それが今に繋がっていると思うと、もう二度と凹んだり落ち込んだりはできないなって思います。
――ちょっと待ってください。二度と…ということは?
気がつきました? そうなんです(苦笑)。
5年目にAKB48からSKE48に移籍した当初、SKEに馴染めずにどんどん体調も悪くなって結果笑顔が少なくなり、握手会に並んでくれるファンの方の数もどんどん減っていくという……負のスパイラルにはまり込んでしまったことがあったんです。
――よく立ち直れましたね?
きっと側で見ていて、それじゃダメだと思ってくれたのかな。お客さんがたくさん入ったコンサートで、マイクを持った珠理奈(松井)が「SKE48にきてくれて、有り難う!」と言ってくれたんです。その一言にジーンときちゃって。
――それでやる気モード全開になった?
もうひとりAKB48の時からずっと一緒だった同期の美奈(大場)が、本気で私のことを叱ってくれたんです。遅刻はしない、握手会にもちゃんと出る、ちゃんとブログを更新する、いつでもどんな時でも笑顔を忘れない――それくらい、できるでしょう?って。珠理奈の言葉で閉じこもっていた殻にヒビが入って、美奈の言葉で殻が割れてそこでやっと目が覚めた感じでした。
――ゴルフがあったから、ファンがいたから、仲間がいたから、12年間頑張れた?
心からそう思います。スタッフのみなさんにも、ファンの方にも仲間にもいっぱい迷惑をかけてきた私ですが、48グループでやり残したことはひとつもないし、これからはゴルフを通して48グループにも、ファンにも仲間にも、倍返し3倍返しでみなさんからいただいた恩をお返ししていきたいと思っています。

ますますゴルフの世界を求道中!
――“想いをカタチに”にしたゴルフウェアブランド『Gorurun』のプロデュースをはじめ、YouTube『鈴蘭ゴルフチャンネル』、BS Japanextで放送中の『山内鈴蘭のゴルフ アンビシャス!〜目指せ‼︎ティーチングプロ』など、最近はますます忙しくなっています。
1日が24時間じゃなく、36時間…48時間あったらいいのにと、1日が短すぎて足りません!(笑)
――『Gorurun』のウェアは、デザインがすごくかわいいとSNSでも話題になっています。
ありがとうございます! それ、私にとっては、最高の褒め言葉です‼︎ AKB48に入ってまだ間もない頃、ゴルフ番組でご一緒させていただいた古閑美保さんから「ゴルフでトップを目指したいなら何か一つ諦めなさい。諦められないなら死ぬ気でやれ!」という叱咤激励の言葉をいただいて。
芸能界でもまだまだ頑張りたいし、ゴルフにもずっと携わっていきたいと思っている私にとっては、この言葉が今もずっと胸に響いていて…毎日死ぬ気で生きてます!(笑)

山内鈴蘭、自身がプロデュースする『Gorurun』グッズ
――そんな中、さらにまたひとつ、山内さんがプロデュースしたゴルフスタジオChoco(チョコ)が完成。7月1日にオープンしました。
ゴルフを楽しむ仲間の新しい出会いの場であり、ゴルフの楽しさを共有できる時間であり、少しでも上手くなりたいと思う人とってはスキルアップの場になったらいいなぁという思いでスタートしたプロジェクトで、コロナ禍という難しい状況の中でのオープンでしたが、毎日たくさんの人に楽しんでいただいています。


山内さんがプロデュースしたゴルフスタジオChoco(チョコ)
――このゴルフスタジオから、子どもたちに夢を繋いでいきたい?
信じていただけないかもしれないんですけど、実は私、小さい頃はいつも隅っこの方にいるような内気な子どもで、明るくなれたのはダンスとゴルフのおかげなんです。
ゴルフは、おじさんたちがやるスポーツで、お金もかかるというイメージがあると思うんですが、そんなことないし、すごく楽しいんだよっていうことを子どもたちに教えてあげたくて。どうしたらうまくボールが打てるんだろう? どうしたらまっすぐ飛ぶのかな? それらを一生懸命考えて、試してみて、失敗したらまた挑戦する――このゴルフスタジオからそれを発信できたら最高だなって思っています。
――イタリアンレストランも併設されているんですよね?
はい!『Bel e Moco(ベル エ モコ)』という名前のお店なんですけど、ゴルフスタジオの『Choco(チョコ)もこの『Bel e Moco(ベル エ モコ)』も、私たちの家族…家で飼っている愛犬から取った名前なんです(笑)。美味しいお料理ばかりなので、ぜひ、食べにきてください!

――こうして話を伺っていると、まだまだ企んでいることがたくさんありそうですが(笑)、最後にひとつだけでいいので、今挑戦中のことを教えてください。
PGA(日本プロゴルフ協会)のティーチングプロの資格をなんとしても取りたいと思っています。
――ベストスコア76の山内さんでも難しい試験なんでしょうか?
36ホールで、通過基準は168以内なので普通にプレーできれば、一次試験は通るはずなんですが……。やはり試験となると緊張すると思うので、油断は禁物ですね。
――そこがゴルフの難しさであり、楽しさなんでしょうけど…。
仰る通りです!

■ゴルフ シミュレーションスタジオ『Choco(チョコ)』
世界に実在している210以上のコースを体験できる最先端のゴルフシミュレーター『GOLFZON』を導入。山内鈴蘭が考案したゴルフスクールや、ゴルフイベントなど、多数の企画が用意されている。
所在地:千葉県白井市冨士153-1
営業時間:平日11:00~21:00 土、祝11:00~21:00 日9:00~22:00
定休日:毎週月曜日
公式サイト https://golf-choco.jp/
■本格イタリアンレストラン『Bel e Moco(ベル エ モコ)』
営業時間:11:00〜22:00
定休日:毎週月曜日
https://bel-e-moco.jp
取材・文/工藤晋 編集/星山江里可 撮影/石田荘一 衣装協力/Gorurun
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