2022年4月期ドラマのラインナップには、いわゆる『医療ドラマ』が含まれていなかった。次クールである2022年7月期ドラマにおいても、医療ドラマはゼロである。

直前の2022年1月期においては『ドクターホワイト』(フジテレビ系列)『逃亡医F』(日本テレビ系列)と2作が放送されていた。医療モノは視聴率が取りやすいとされ、ドラマのなかでも定番ジャンルであるにも関わらず、2クール連続で制作されないのは稀だ。

医療ドラマの制作が避けられている理由を踏まえつつ、これからの時代において、医療ドラマをバズらせるために必要な要素を考察する。

2022年春クールのドラマをおさらい

2022年4月期に放送された、ゴールデン帯のドラマは以下のとおり。

月:『元彼の遺言状』『恋なんて、本気でやってどうするの?』(ともにフジテレビ系列)
火:『持続可能な恋ですか?』(TBS系列)
水:『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』(日本テレビ系列) 『ナンバMG5』(フジテレビ系列)
木:『未来への10カウント』(テレビ朝日系列) 『やんごとなき一族』(フジテレビ系列)
金:『インビジブル』(TBS系列)
土:『パンドラの果実』(日本テレビ系列)
日:『マイファミリー』(TBS系列) 『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系列)

ミステリー、恋愛、お仕事ドラマ……さまざまなジャンルが散見されるが、医療ドラマはゼロ。恋愛ドラマの存在感も薄くなっている印象だ。月9といえば王道ラブストーリーのイメージが強いが、3クール続けてミステリーものが放送されている。

医療ドラマ、恋愛ドラマ。こういった定番ジャンルが影に追いやられつつあるのは、なぜなのだろう。

バズる医療ドラマに、印象的なキャラ&セリフあり

これまで放送された医療ドラマについて、高視聴率を獲得した人気作品を中心に見ていきたい。医療ドラマと聞いてまず浮かぶのは、以下のような大人気シリーズだろう。

・『白い巨塔』(1967年〜/フジテレビ系列)
・『Doctor-X ~外科医・大門未知子~』(2012年〜/テレビ朝日系列)
・『JIN-仁-』(2009年〜/TBS系列)
・『Dr.コトー診療所』(2003年〜/フジテレビ系列)
・『ナースのお仕事』(1996年〜/フジテレビ系列)
・『コード・ブルー -ドクターヘリ救急救命-』(2008年〜/フジテレビ系列)

どれも平均視聴率20%超えのマンモス級な人気を誇るシリーズものばかり。時には社会現象も巻き起こし、対ドラマファンだけでなく、一般的な共通言語として機能しているといっても過言ではなかった。

上記に挙げたドラマを中心に考えてみると、どの作品にも象徴的なキャラクターが登場していることがわかる。

『Doctor-X』シリーズなら、言わずと知れた大門未知子(米倉涼子)の堂々とした態度と凄腕っぷりは、一度見たら忘れられない。『JIN-仁-』では、綾瀬はるかが演じた橘咲の真摯な様が印象的。『ナースのお仕事』は、観月ありさ演じる後輩ナース・朝倉いずみと、松下由樹演じる先輩ナース・尾崎翔子の掛け合いが、ドラマの色を決めている。

加えて印象的なセリフも外せない。『Doctor-X』シリーズでは“私、失敗しないので”。『JIN-仁-』では“神は乗り越えられる試練しか与えない”。『ナースのお仕事』では“あ・さ・く・ら〜!”など。

「このドラマといえばこれ!」といったお決まりのセリフがあるのも、大人気シリーズたる医療ドラマの条件なのかもしれない。