地面師詐欺発覚の経緯
被害にあった土地は、まさに「地価が高いエリアの手付かずの土地」だった。東京23区内の100坪を超える更地で、その実勢価格にして2億円を超える。所有者は、都内に多くの土地を所有する資産家。当該土地は、1年前にアパートを解体し、活用方法を検討している間に雑草が生い茂る状態になっていたという。
地面師詐欺が発覚したのは、国土工営が当該土地の謄本をチェックしていたときだった。
「所有者様に活用方法を提案しようと最新の謄本を取り寄せて確認していました。謄本には、1週間前に大阪の人物に売却した履歴が。最初は『何か事情があって売却されてしまったのか……』と思っていたのですが、所有者様とは話が噛み合わない。『地面師詐欺』という言葉が頭をよぎったときには青ざめました」
所有者も当初「訳がわからない」と混乱している様子だったという。それも当然だ。謄本には、見ず知らずの人物とまったく身に覚えのない土地の売買契約をした履歴が残っていたのだから……。