じゃあ、普通の会社員は何から始めればいいのか

じゃあ、普通の会社員は何から始めればいいのか。私は、今日やった仕事を10個書き出してみればいいと思う。

メールを書いた。会議に出た。資料を作った。上司に報告した。取引先を調べた。数字を集めた。スケジュールを調整した。契約書を読んだ。議事録を直した。明日の準備をした。

それを、そのままChatGPTやGeminiに入れる。

「この仕事を、AIが存在することを前提にゼロから組み直してください」

と聞く。さらに、「人間だけがやる仕事」「AIに任せられる仕事」「AIがやって、人間が確認する仕事」「そもそもなくせる仕事」に分けてください、と頼む。

これだけでいい。たぶん最初は、しょうもない答えが返ってくる。「メール作成をAIで効率化しましょう」「会議を自動要約しましょう」みたいな、どこかで聞いた話が並ぶ。

そのときは、もう一回言えばいい。

「今のやり方を前提に考えないでください」

「そもそも、この仕事が必要なのかというところから考えてください」

これを加えると、少し面白くなってくる。たとえば毎週金曜日に、営業会議のために20枚の資料を作っているとする。普通なら「AIで20枚を速く作ろう」と考える。でも、本当に必要なのは20枚の資料なのか。

営業会議で知りたいのが売上、案件の進み具合、問題が起きている顧客だけなら、その数字が自動更新される画面だけでいいかもしれない。資料自体、なくせるかもしれない。

写真はイメージです
写真はイメージです

AIを使えば使うほど「怪しく見えてくるもの」

そうなると、AIにやらせるべき仕事は「資料を作ること」ではなかった、ということになる。

ここが面白い。

AIを使えば使うほど、人間が今まで疑わなかった仕事のほうが怪しく見えてくる。「なぜ毎週これを作ってるんですか」「なぜ3人で確認してるんですか」「なぜ一度Excelに入れて、それを別のシステムに手入力してるんですか」。そういうことをAIに聞かせればいい。

AIについて「仕事を奪われる」という話はこれからも続くだろう。実際、なくなる仕事もあると思う。でも、そんなでっかい話をする前に、自分の仕事を一個、AIに渡してみたらいい。

AIに聞く。AIに書かせる。そこまでは、多くの人がもうやり始めている。その次は、AIに仕事を任せる。そのために、仕事のやり方そのものを一度バラバラにしてみる。
AXとかAIXとか、名前はどうでもいい。

今日一日の仕事を10個(いや1個でもいいよ!)、詳しめに書き出して、「これ、今のやり方のままでいいの?」とAIに聞いてみる。まずは、そこからでいい。

文/小倉健一  写真/shutterstock