手探りで始まったボイストレーニング
封印していた歌うこと。ずっと胸の奥にあった気持ちを形にすべく、行動に出る。意を決してボイストレーニングの門を叩いたゆうきさんは、初めて顔を合わせた講師に「自分は難聴です」と告げた。
「講師の先生も難聴の生徒を教えるのは初めてだったようで、手探りで指導法を模索してくれました。まず、『音とは何か』そこからのスタートだったんです。
手の高さで音の上げ下げを示してくれたり、独自に編み出した方法を通じて、少しずつ“歌う”という感覚を身体に落とし込んでいく。そうやって少しずつ歌うことを克服していきました」
オリジナル曲の作詞作曲も、講師と二人三脚で進めていったもので、「僕にとっては宝物のようなそんな存在です」と微笑んだ。
講師とのボイストレーニングは歌唱だけでなく、ゆうきさんのマインドの部分にも影響を与える。
「講師の先生が、『手話やダンスができる、見た目は少し尖っているけど話してみるとなんだか天然、というギャップが武器だから、絶対SNSをやった方が良い』と言ってくれて。それまで隠していた難聴という僕の障がいは弱点じゃなくて、個性なのかもしれないと思えました。
先生の一言で難聴を前面に出す決意ができた。僕にとっては人生を大きく前に進めてくれたきっかけの言葉でした」
ハンディキャップと向き合うことで見つけた自分の強み。そんな彼の直向きな姿は多くの人の背中を押している。SNSで発信することで自分の「新しい存在価値を見出した」と語った。
高校時代にあった苦い記憶も、今の彼はポジティブに捉えている。
「当時の僕にとっては、つらいことではあったけれど、それがなかったら今の気持ちも芽生えなかった。過去に言われた言葉のひとつひとつは傷つくこともあったけど、それがあるから見つけられたものもある。塞ぎ込んで何もしていなかったら、きっと僕は誰かに勇気を与えたり、感動させるようなことはできなかったなって思います」














