台湾でも波紋…教会は「無断で油をかけることは教えていない」

事件は台湾でも大きな波紋を広げている。ツァイ容疑者は本名の蔡宜臻とは別に「蔡頤榛」の名で芸能活動を行い、「五熊(ウーション)」の名でも広く知られる台湾の人気タレントでもあるからだ。

8月24日には、ツァイ容疑者のマネージャーが声明を発表し、本人と直接連絡が取れず、家族と日本の弁護士を通じて状況を把握していると説明。一連の騒動が混乱を招いたことについて謝罪した。

台湾では「五熊(ウーション)」の芸名で活動してきたツァイ容疑者(写真/本人SNSより)
台湾では「五熊(ウーション)」の芸名で活動してきたツァイ容疑者(写真/本人SNSより)

台湾メディアでは、ツァイ容疑者の芸能活動から交友関係、宗教との関わりに至るまで連日報じられており、現地での関心の高さがうかがえる。

過去にツァイ容疑者が集会に参加していたキリスト教会「新生命小組教會」は、ツァイ容疑者が何年も前に教会を離れているとした上で、「聖書には油を用いた祈りの記述はあるものの、他人の所有物や宗教施設、文化財に無断で油をかけることを教えたり、推奨したことはない」との声明を発表した。

一方、奈良県庁の文化財課によると、ツァイ容疑者が汚損した仏足石は、東京文化財研究所が成分検査を行い、奈良市内の元興寺文化財研究所が数日間かけて除去処置を施したことで、現在は事件前と同様の状態に戻っているという。担当者は、文化財を守る立場としての見解を示した。

「(汚損行為を)やっている方は、独自の信仰の考え方でされてるんだと思います。それでも、こちらでは、文化財の汚損行為をしているというような把握の仕方になってしまうんです」

ツァイ容疑者は2020年に結婚。2025年10月には第一子を出産している(写真/本人SNSより)
ツァイ容疑者は2020年に結婚。2025年10月には第一子を出産している(写真/本人SNSより)
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『祈祷のためだった』と供述する行為によって文化財が汚損された今回の事件は、同じく信仰の場である寺側に難しい問題を突きつけた。

「お寺さんでは、お参りに来られた拝観者さんに対して性善説に立つといいますか、信仰のつもりでお参りに来られているという認識でいます。拝観に来られた方を疑いの目で見るようなことはないと思うんです。

事件が起きたことは非常に残念だなというふうに思っています。お互いの思いの違いというのはあるのかもしれませんけども、日本国内においては国宝ということで、行政も協力して守っているものですから、ぜひともやめていただきたいです」(奈良県庁文化財課)

「性善説に立っている」と担当者が語るように、寺社にとって、拝観者を一律に警戒の対象とすることは難しい。今回の事件を受け、文化財を公開しながらどのように守っていくのかという課題も改めて浮かび上がった。警察は、他の場所でも同様の行為がなかったかを含め、詳しい経緯を調べている。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班