「芸術論の巻」(ジャンプ・コミックス200巻収録)
今回は、両さんが「点描画」の名手としてアート界でひと儲けを企むお話をお届けする。
両さんが自分の作だと言い張っている絵だが、実は派出所の若手警察官・雑学(ざつ・まなぶ)の手によるもの。いわばゴーストライターを使ってのクリエーター商売をしているわけだ。
本作が描かれた2016年の2年前、数々の映画やゲーム音楽を手がけていた作曲家の作品群が、実はゴーストライターの手によるものだったと発覚し大きな話題となった事件を思い出した人もいるだろう。本作における両さんの悪事の行く末ははたして……?
ちなみに「点描画」とは、本作で描写されている、単色の点によるものだけを指すわけではない。本来は、異なる色彩の複数の点や線を隣り合わせて配置することにより、絵の具を混合させずに求める色を表現する手法のことだ。
普段から目にしているカラーの印刷物をよーく見てみると、赤、青、黄、黒の小さな点で構成されていることがわかる。また新聞に掲載されている写真は、黒の点の大きさの差だけで画像が表現されている。点描は、私たちの日常にあふれている手法なのだ。
それでは次のページから、両さんが現代美術界に華麗なデビューを飾る(!?)お話をお楽しみください!!