〝孫悟空の輪〟のように頭が締めつけられ…
②目の疲れや首こりから後頭部が痛むように
頭痛のなかでも特に後頭部が痛む場合は、目の疲れや首のこりが関係している可能性が高いでしょう。同じ距離や近距離でパソコンのモニターやスマホの画面を見続けたり、まばたきが少なかったりすると、後頭部に痛みが生じやすくなります。また、頭を動かすと響くような痛みを感じることも。この頭痛のせいでイライラしやすくなる人もかなり多くいらっしゃいました。
ほかにも、視力の低下や目のかすみ、近くから遠くを見るとピントが合わない、といった目の不調を抱える人が多く、首こりが続くことで頭が痛くなる人も少なくありません。
物を見るときは、頭を支えて前後に動かす後頭下筋群や板状筋が酷使されます。後頭下筋群と板状筋は、後頭部と首の境目にあるので、過剰に働いてこり固まると後頭部に痛みが生じるのです。寝転ぶと痛みがやわらぐ理由は、頭の重みから解放されるため。東洋医学でも、後頭部と首の境目に脳の視覚野をつかさどる目のツボがあり、目と後頭部は深い関係があるとされています。
日常生活では、パソコンのモニターなど、普段よく見る対象物を顔の真正面に据えると、頭を支えてその位置をコントロールする後頭下筋群や板状筋を休ませることができるでしょう。
③頭を覆う帽状腱膜の緊張が原因
眉の上、前頭部から後頭部にかけて痛みが生じる頭痛です。髪を束ねたときに頭皮が引っぱられると痛んだり、頭皮の表面にチクチクと痛む感覚があったりします。このタイプの頭痛は鎮痛剤を飲んでも改善しにくいのが特徴です。
頭皮がガチガチに硬いので、つまんだり動かそうとしたりしても、ほぼ動きません。頭皮が硬いと血行も悪くなっているため、抜け毛や薄毛も生じやすくなります。さらに、顔全体がたるんだり毛穴が目立ったり、おでこに横ジワがあらわれたりするのです。
こうした症状は、眉の上から後頭部を覆う帽状腱膜が過剰に緊張して硬くなっていると起きます。帽状腱膜がこわばると〝孫悟空の輪〟のような要領で頭が締めつけられ、痛みが生じることに。
このタイプの頭痛がある人は、背中が丸くなり左右の肩甲骨が外側に広がっているので、筋肉や筋膜、皮膚が密接につながっている顔や頭が下方向に引っぱられ、帽状腱膜の緊張やこわばり、頭皮の血行不良が起きます。
頭皮を柔軟に保つには、ときどき髪の分け目を変えたり、頭皮をこまめに押したりすることも大切です。毎日数回、胸や肩を開き背すじをのばして、左右の肩甲骨を背骨に寄せる姿勢をするのもいいでしょう。
文/今村匡子