保釈を認める条件として、病院に入院させる

いっぽう澤瀉屋内では、かねて水面下で猿之助のパワハラ体質が噂されてきた。梨園と関係の深い松竹関係者はこう証言する。

「孝彦はひとことで言うと、繊細かつ傲慢で毒舌。頻繁に手を洗い、スキンケアにこだわるなど美意識が高い反面、傲慢なエピソードにもこと欠かない。女性誌にも書かれてしまったけど、特に弟子の扱いが酷い。気分次第で理不尽にキレて『お前らは家畜だ』とか、平然と放送禁止用語で罵倒するそうです」

猿之助は、結婚するつもりがないことを公言していたため、跡取りは必然的にもうけにくい。しかし、このことで両親との仲が険悪になることはなかったという。

事件当時の猿之助自宅周辺(撮影/集英社オンライン)
事件当時の猿之助自宅周辺(撮影/集英社オンライン)

またプライベートでは、数年前までは舞台の大道具を務める裏方と同棲生活を送り、最近想いを寄せていた相手は、マネージャー業もつとめていた”俳優A”だった――。

Aは、自身も俳優をしながら、何度か恋愛スキャンダルでスポーツ紙やワイドショーをにぎわせたことのある人物だ。そのAが猿之助と接点を持ったのは、数年ほど前だという。

「当時Aは新橋演舞場や明治座で大道具の仕事をして食いつないでいて、猿之助と言葉を交わすうちに親しくなり、飲食をともにするうちにさらに親しくなっていった。Aは男女を問わず年長者の心を掴む手腕に長けていた」(スポーツ紙記者)

猿之助のAの寵愛ぶりは澤瀉屋関係者の目に余るほどだったようだ。そして今回の事件で、猿之助は自殺を図った自室内に立てかけたキャンバスにこうメッセージを残していた。

<愛するA だいすき 次の世で会おうね>
<Aを喜熨斗孝彦の養子にし、遺産の全てを相続する>

関係者によると、保釈された猿之助被告は、都内の病院に入院するという。

「裁判所が保釈を認める条件として、病院に入院させることをあげていました。自暴自棄の猿之助が再び自殺をしないかを危惧しての処置です。逮捕前に入っていた病院は世田谷区の古い精神科専門で知られるところでしたが、今回は別の病院だと聞いている。昨日、大手メディア数社が話を聞こうと猿之助被告を追跡したが、六本木周辺でまかれていた」(社会部記者)

逮捕前に入院していた世田谷区内の病院(撮影/集英社オンライン)
逮捕前に入院していた世田谷区内の病院(撮影/集英社オンライン)
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今後も公判は続いていく。いっぽう事件の発端となった“セクハラ”疑惑については闇に葬られる可能性が高いという

「松竹は、猿之助のパワハラ、セクハラについて社内で極秘に『これ以上の検証はしない』ととりきめをしたと聞いています。このままでは梨園の『闇』はうやむやなままとなってしまい、何より猿之助自身も釈明の機会すら与えられないことになってしまう」(歌舞伎評論家)

梨園にかかる霧は、まだしばらく晴れそうにはない――。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班