6秒ほど頭を下げ、逮捕前よりもやつれた表情で…
この日、100人近くの報道陣が待ち構えるなか、原宿署から姿を見せた猿之助被告の目には、舞台上で発するような活力はなかった――。
立ち止まった同被告は報道陣に向かって6秒ほど頭を下げ、原宿署の署員にも一礼。黒いスーツにネクタイ姿という出で立ちだが、逮捕前よりもぐっとやつれた表情で、髪の毛も整えられていなかった。そのまま迎えのワンボックスカーの後部座席に乗り込むと、無数のフラッシュを浴びながら原宿署を後にした。
「猿之助被告は都内の自宅で5月17日の未明、父親で歌舞伎俳優の市川段四郎(享年76)と母親の延子さん(享年75)に大量の睡眠薬を飲ませることで自殺を手助けしたとされている。6月27日に母親の自殺ほう助で逮捕され、翌月18日には父親の自殺ほう助の容疑で再逮捕されていた」(社会部記者)
今回の猿之助被告の保釈を受け、所属事務所は「応援してくださる皆さま、関係者の皆さまに多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますこと改めて深くお詫び申し上げます」とした上で「今後も公判の推移を見守っていく所存ですが、司法による最終的な判断がなされるまでは弊社としての見解を申し上げることは差し控えさせていただければと存じます」とコメントした。
集英社オンラインでは、これまで複数回にわたり猿之助事件を報じてきた。複数の証言とともに令和で起きた歌舞伎界最大の悲劇を振り返る。
もとはといえば、自らのセクハラ、パワハラ疑惑を女性週刊誌に報じられたことが「一家心中」の動機だった。猿之助被告は逮捕前の任意聴取に「週刊誌報道をきっかけとして家族会議が行なわれ、『みんなで死んで生まれ変わろう』と、睡眠薬を飲んだ」と説明したという。
「猿之助さんは自殺未遂後、医師に『(女性誌に)あること、ないこと書かれた』と説明したようですが、お弟子さんや澤瀉屋内では、猿之助さんの振る舞いや言動に対する不満の声は以前からあり、書かれたら“やばい”トラブルはまだまだあった。これまで梨園のトラブルやスキャンダルはどこかで、『芸の肥やし』として許されてきましたが、昨年の香川照之さんのセクハラ騒動や、一連の芸能界の加害性報道など世間の目はどんどん厳しくなっている。繊細な猿之助さんは、そうしたバッシングが怖かったのかもしれません」(スポーツ紙デスク)