松本幸四郎と市川團十郎の若気の至り

梨園といえば、隠し子も多い。
十代目松本幸四郎は大学生だった18歳のとき(当時は七代目市川染五郎)、6歳年上の元女優との間に子どもをもうけていたことが1997年に発覚した。だが幸四郎はその後も梨園を巻き込んだ、とんでもないスキャンダルを起こす。

「幸四郎は隠し子発覚の半年ほど前に、寺島しのぶとの交際が報道されたばかりでした。そのため周囲は寺島に“幸四郎と別れるよう”説得したのですが、寺島は受け入れず、交際を続行したのです。
ところが2003年、幸四郎は記者会見を開いて高校時代からの友人女性との結婚を発表。もちろん寺島はそんなことは知らされておらず、相当なショックを受けたといいます」(芸能記者)

市川染五郎時代の書籍『市川染五郎 人生いろいろ染模様』(世界文化社)
市川染五郎時代の書籍『市川染五郎 人生いろいろ染模様』(世界文化社)

しかも寺島の父は名門音羽屋の七代目尾上菊五郎だ。一方、幸四郎の父は高麗屋の松本白鸚。当然、音羽屋と高麗屋は犬猿の仲となったが、のちに白鸚の謝罪によって和解したという。
このように色恋沙汰はともすれば門閥どうしの争いにもなる。そして梨園の歴史は複雑な婚姻関係、養子縁組で構成された世界でもあるのだ。

近年、世間を大きく騒がせた歌舞伎役者のスキャンダルといえば、2010年に十三代目市川團十郎(当時、十一代目市川海老蔵)が巻き込まれた暴行事件。酒の席で「俺は人間国宝だぞ」などと声高に叫んだり、灰皿にテキーラを入れて飲ませようとしたりして、元暴走族の怒りを買って暴行を受け、痛々しい姿で会見を行ったのは記憶に新しい。
女に酒に、とまさに歌舞伎界屈指の問題児だったが、妻、小林麻央の病死やふたりの子どもの成長、自身の襲名もあって、現在は真っ当な生活を送っているようである。