「選挙が終わったらひっくり返す、それが今までの手口じゃないですか!」

しかしパワハラ問題で辞職に追い込まれた山中氏は立候補表明と同時に「私が撤回をしたカジノの誘致に関しても再び噂があります。横浜の財産である山下ふ頭をはじめ、あらゆる場所にカジノを誘致させない、その使命感があります」と言い始め、カジノの争点化を図る。

他の6候補は誰もカジノ誘致を公約に掲げず、誘致論争も存在しなかったが、かつてカジノ誘致に積極的だった自民が推した原澤氏にはSNSや街頭演説の場でも「カジノを進めるのではないのか」との声が飛び、原澤氏は「カジノをやると1度も言ったことはございませんし、やれと言われたこともございません」と否定して回ることになった。

10月18日、当選確実が報じられ手を振る原澤敦美氏 撮影/集英社オンライン
10月18日、当選確実が報じられ手を振る原澤敦美氏 撮影/集英社オンライン

それでも選挙戦最終日の17日夜も、JR桜木町駅前で行なったマイク納めで山中氏と並んだ応援弁士は次々にカジノ阻止を訴えた。ギャンブル依存症の支援に取り組む団体の幹部は、

「選挙の前はみんなカジノなんかやらないって言うんですよ。でも、もう根回しできてるの分かりきってるじゃないですか。(中略)選挙が終わったらひっくり返す。それが今までの手口じゃないですか。横浜は騙されてはいけません」

と危機感をあおった。

だが原澤氏はその夜、記者団に「私の任期中にはカジノをやることはありません」と明言。

当選確実が伝えられた直後の18日夜も、考えは変わらないかと問われると「現在の市民のかたはカジノやってほしくないというご意向だというのは5年前に決着がついており、その意向は今も変わってないと思っておりますので、私の任期中にカジノをやることはございません」と明確に誘致を否定した。

結局、カジノの話題が相手にされずパワハラの印象が強く残る山中氏に勝ち残る道はなかった。

対する原澤氏は、政治経験は皆無でも日本航空の整備士から弁護士に転身したマルチな才能を序盤からアピールしたことで有権者に認められた。現在横浜市内に暮らしていないことをとがめる声もSNSで出たが、長年横浜に暮らし、過去にはミス横浜に選ばれたこともある横浜との縁の深さが知られ、問題にならなかった。「街頭演説の数は候補者の中で一番多かったとみられる」(地元記者)といい、熱心な選挙活動も票を掘り起こした。

10月17日、福山敦士候補の応援演説をする参政党の神谷宗幣代表 撮影/集英社オンライン
10月17日、福山敦士候補の応援演説をする参政党の神谷宗幣代表 撮影/集英社オンライン