“理不尽ゲーム”なぜ世界各国で大反響?

トップ画面。対応言語が次々と追加されている
トップ画面。対応言語が次々と追加されている
すべての画像を見る

『80億分の1』の自由度は極端に低い。その程度は人気ゲーム『マインクラフト』や『ザ・シムズ』とは対極にあり、現実世界のごとく限界だらけだ。

プレイヤーは「生まれる」ボタンを押した瞬間に、統計上生まれる可能性の高い国の赤ちゃんとして誕生する。国も、性別も、肌の色も、家族も、体質も選べない。条件に応じてさまざまなイベントが起きるが、プレイヤーはそれらをコントロールする術を持たない。

選べるのは、お金の使い方やイベントへの対処の仕方だ。しかし、選択によってお金や幸福度などの数値が変動しても、最終的な評価には一切関係しない。死は唐突に訪れ、ゲームは終わる。やり直しもできない。

この「理不尽」なゲームは、日本を含む各国で多くの人の心をつかみ、大反響を生んでいる。
「死んだときに泣いた」「幸せって何だろう」「ものすごいゲーム。感動した」「自分の人生に感謝できる」
オンライン上には各国のプレイヤーたちの感傷的な言葉が並び、元ライブドアCEOの堀江貴文などの著名人たちも、その出来栄えを賞賛する。

このゲームはどうやって生まれたのか。背景にはどんな思いがあるのか。開発者が文面で取材に応じた。

――まずは、公開までの経緯を教えてください。

私はいわゆる「デジタル・ノマド」として、いろいろな場所で生活しながら仕事をしています。その暮らしを通じて、世界がとても広く、それぞれが異なる生活スタイルを持っていることを実感しました。

そのうち「世界にいる80億人のうちの、たった1人になることは何を意味するんだろう」と考え始めました。当時私はAIを使っていたのですが、その問いをAIのなかで再現してみようと思いました。

このゲームのなかには多くの統計データが参照されていますが、事前に準備していたわけではありません。ただ、最初のプロンプトに「可能な限り実際の統計データに基づかせて」と書き込んで、その後はAIと一緒に探したり追加したりしました。

使用したのはClaudeのOpus5.5です。プロンプトを書き始めたのは日本時間の10月5日でした。それから私とAIの“2人きり”で約4時間かけてゲームを制作し、同日夜には独自ドメインで一般公開しました。以来、プレイヤーからのフィードバックを反映しながら開発を続けています。