高円寺阿波おどりに参加する女性に取材

では、実際の踊り手はこうした問題をどう受け止めているのか。29日と30日に開催する『東京高円寺阿波おどり』に参加する高橋さん(仮名・20代女性)は、こう話す。

「撮影されることはすごく意識しています。ただ、SNSでの連員(グループのメンバー)募集が主になっていることもあり、多くの人に見てもらえる、悪意のない写真はありがたいと思っています。

知らない人のSNSに、自分が踊っている写真や動画が投稿されるのもうれしいので、本番後の打ち上げで、みんなで自分の連(グループ)名をエゴサーチしています」

実際、撮影した写真をファイルにまとめて連へ送ってくれる人や、SNSの投稿を共有してくれる人もおり、撮影をきっかけに観客との交流が生まれることも少なくない。だからこそ、この女性は一部の悪質な撮影者の存在を理由に、撮影そのものを厳しく制限することには否定的だ。

「不適切な写真を撮っているのは少数だと思うので、個人的には撮影を制限する必要はないと思っています。ただ、未成年者の被害なども考えると、不適切なアカウントへの対応や対策は厳しくすべきだと思います。

知り合いも、踊っているところではなく、待機中に胸元をアップで盗撮されたことがあるそうです。そういうのは当然、嫌ですね」(高橋さん)

踊り手たちも、祭りに参加する以上、観客のカメラに写り込んだり、踊っている姿を撮影されたりすることは、ある程度想定しているだろう。しかし、それは身体の一部だけを意図的に切り取られ、性的な文脈で消費されることまで受け入れているということではない。

阿波おどりをはじめとする祭りは、老若男女が楽しめる場所だ。踊り手に過度な自衛を求めるのではなく、身体の一部を狙った撮影や、本人が望まない形で性的に消費する行為を避ける。撮る側、見る側の当たり前のモラルが、いま改めて問われている。

29日の『東京高円寺阿波おどり』の様子(撮影/集英社オンライン)
29日の『東京高円寺阿波おどり』の様子(撮影/集英社オンライン)

取材・文/千駄木雄大