問題視されてきたダンスの不適切撮影
女性の踊り手をめぐるこうした問題は、阿波おどりに限ったものではない。露出度の高い衣装で踊る浅草サンバカーニバルでも、女性ダンサーの身体の一部を狙うような撮影は、以前から問題視されてきた。
「とあるネット掲示板の『サンバイベント情報』と題されたスレッドには、撮影した女性の画像を掲載しながら、『最前線でライトを焚いたので良い作品ができました。●●(編集部伏字)すぎ注意!』と書き込む人物もいます」(同)
もちろん、主催者や出演チーム側も手をこまねいてきたわけではない。浅草サンバカーニバルでは過去に撮影禁止エリアが設けるなど、不適切撮影の防止に力を入れてきた。
そして、これは阿波おどりやサンバに限った話ではない。
「東京外国語大学の学園祭『外語祭』では、女子学生によるベリーダンス公演が以前から人気を集めていますが、観客に中高年の男性が目立つこともたびたび話題になってきました。2000年代の時点ですでに、公演を撮影した動画がネット上にアップされて問題となり、写真や動画の撮影は禁止されています。
スマホの普及とSNSの発達によって、こうした映像が一気に拡散されるようになりましたが、女性が人前で踊るイベントに撮影を目的とした観客が訪れ、その映像がネット上で消費されるという構図自体は、20年近く前からあったのです」(同)
もっとも、撮影方法を規制するだけで、この問題を解決できるわけではない。今回問題となった阿波おどりの動画のなかには、ローアングルで身体の一部を狙ったものではなく、女性たちがごく普通に練習する様子を収めた映像もある。
ところが、そうした動画にも踊り手の容姿や身体を性的に捉えるコメントが寄せられ、本人の意図とは無関係な文脈で拡散されていく。
問題は「何をどう撮るか」だけではなく、「撮られた映像がどう見られ、どう消費されるか」にまで広がっている。悪質な撮影を禁止したとしても、何気なく撮影された映像や、本人たちが発信した動画さえ、性的な視線にさらされる可能性は残る。撮影を規制するだけでは、問題は別の場所で繰り返されるだけなのかもしれない。












