「両さん月へ行くの巻」(ジャンプ・コミックス58巻収録)

今回は、両さんがちょっと遠くまで……というか、地球を離れてはるか彼方、夜空に浮かぶ月へと向かうお話をお届けする。

今年2月にアメリカの宇宙開発企業「インテュイティブ・マシーンズ」の無人船が民間企業としては初の月面着陸を果たしたが、両さんは本作が描かれた1987年に月面に到達していたのだ。もっとも両さんは、れっきとした公務員ではあるが……。

このときは巨大な多段式ロケットに搭乗して旅立ったが、のちに両さんは、1万円の超低予算でラジコン月面車と小型ロボットを月に送り込んでいる(ジャンプ・コミックス199巻収録「月面車、月を走るの巻」)。

なお、同作で両さんが提唱した「下町コロッケ計画」に近い映画が実際に存在する。1979年にテレビドラマのパイロットフィルムとして制作された『宇宙清掃株式会社サルベージ・ワン』だ。

ジャンク屋のオヤジやNASAを放逐された異端の科学者らが集まって裏庭で独自の推進法を備えた宇宙船をこしらえ、月面に残されているアポロ計画の装備を回収して大儲けを企む……という作品だ。どうだろう、まるで『こち亀』みたいだとは思わないだろうか。なかなか観るのが難しい作品だが、『こち亀』好きなら観て損はない一作だ。

それでは次のページから、両さんの月世界征服話をお楽しみください!!