「古着あげたんやから、このペンダント買って」
神戸市垂水区の公営団地で育った沙喜容疑者は学習障害の傾向があり、地元の中学に進むとそこの支援学級で学び、高校は神戸市立の支援学校に通った。冒頭はその支援学校時代の同級生の母親のコメントだ。高校時代の沙喜容疑者は、輝いていたようだ。
「沙喜ちゃんはハーフ系の美人さんで、背も高いしスタイルもよくて、クラスの人気者でした。いわゆる“1軍女子”って感じの女の子で、部活もサッカー部に所属していて、運動神経もバツグン。毎年神戸で行われる『障碍者のじぎくスポーツ大会』にも、陸上の部門で出場していました。それだけ活発な生徒だったので、50~60人ほどの同級生は軽作業などが多い『B型作業所』に就職するなか、沙喜ちゃんだけはアパレル会社に就職したんですよ。だから同級生の間では憧れの的で、ウチの娘も『沙喜ちゃんは可愛いくてうらやましい』とよく話題にしていました。ほかの親御さんに聞いても、同じようなことを口にする方が多かったですね」(支援学校時代の同級生の母親)
沙喜容疑者の母親は保護者会などにも一切参加しなかったため、ママ友的なつながりは全くなかったが、地下鉄の車内で一度だけ顔をあわせたことがあったという。その印象が強烈だった。
「異様な雰囲気をまとっていました。神戸市営地下鉄で乗り合わせたんですが、沙喜ちゃんと妹さん2人だけを連れて座席に座っていました。お遍路さんのような真っ白な袈裟を着て、化粧っ気もまったくなくて、髪の毛も白髪交じりでボサボサでした。当時はまだ30代だったはずですけど、60歳ぐらいにしか見えないし、浮世離れしている感じがしました。あちらも私を同級生の母親と認識していたようで、なぜかニヤニヤとした視線を向けてくるので、ビックリして思わず目を逸らしてしまいました」(前同)
「一軍女子」は高校時代に、何かトラブルを起こしたことはなかったのだろうか。
「沙喜ちゃんは、表向きは先生ウケもいい子だったと思いますけど、実は何度かウチの子からお金をだまし取ったことがありました。ある日、娘が『これ沙喜ちゃんのお母さんからもらった』と古着のようなモノが入った紙袋を持って帰ってきたことがありました。その数日後、もしものためにと娘の財布に入れていた8千円のうち、5千円札がなくなっていたんです。そんなことが何度か続いたころに、娘の携帯に沙喜ちゃんから電話がかかってきたので、問い質してみたら、金づるみたいにされていたことがわかったんです。『この前、アレ渡したんやから、お金ちょうだい』とか『古着あげたんやから、このペンダント買って』みたいなことがそれまでに何度かあったそうで、ショックでした」