「トランジスタ・ラジオ」RCサクセション
作詞・作曲/忌野清志郎、G.1,238,471
1980年にシングルとしてリリース アルバム『PLEASE』収録
「雨あがりの夜空に」とともに、ファンの間でもっとも親しまれている、アンセム的な超名曲。
「Woo授業をサボッて 陽のあたる場所にいたんだよ
寝ころんでたのさ 屋上で たばこのけむり とても青くて」
決して優等生ではないけれど、夜の校舎で窓ガラスを壊して回ったり、盗んだバイクで走り出したりするほどの大胆さはなく、トランジスタラジオから流れてくる“君の知らない”洋楽ヒット曲に耳を傾け、心を震わせる。
まだ何者でもない若者のフワフワとした心を、ここまで切なくリアルに表した曲が、他にあるだろうか。
コンプラでポリコレな現代社会では忌避されそうな歌詞だが、人はこうやって成長した方がいいのになと思ってしまうのは、筆者だけではなかろう。
我が子が高校生になったら、ぜひ、聞かせてあげたい曲なのだ。
生きるのが難しい今の時代にこそ聴きたい
心穏やかになれる2つの名曲
「空がまた暗くなる」RCサクセション
作詞・作曲/忌野清志郎、G.1,238,471
1990年リリースのアルバム『Baby a Go Go』からのシングルカット「スローバラード(RE-MIX VERSION)」のB面
この頃のRCサクセションは空中分解寸前。
清志郎を含む残った3人のメンバーで、なんとか活動を続けていた頃にリリースされた、RC最終作品だ。
タイトル通り、爽やかながらも今にも雨が降り出しそうな雰囲気のメロディに乗せ、清志郎は歌う。
「おとなだろ 知ってるはずさ
悲しいときも 涙なんか もう二度とは 流せない
悲しいときも 涙だけじゃ 空がまた 暗くなる」
真っ当な大人であることを拒否するような生き方をしてきたに違いない清志郎が、逆説的に「おとなだろ」と歌う。
でも“涙だけじゃ、空がまた暗くなる”から、子供の頃のように勇気を出そう。
そしたら道に迷わずに、家にたどり着けるんだ、と。
子供の頃のような勇気。
難しい今の時代こそ、求められるものかもしれない。
「君が僕を知ってる」RCサクセション
作詞・作曲/忌野清志郎
1980年にシングル「雨あがりの夜空に」のB面としてリリース、アルバム『EPLP』収録
忌野清志郎が作る曲には、自分と誰かもう一人との、静かな関係性を歌うものが散見できるが、これはそうした“二人の世界”を扱った曲の中では究極のもの。
「今までしてきた 悪い事だけで
僕が明日 有名になっても
どうって事ないぜ まるで気にしない
君が僕を知ってる」
清志郎が歌う二人とは、恋仲の男女とは限らない。
この曲も、究極のラブソングと捉えることもできれば、かけがえのない友情を歌ったものと見ることもできる。
知らない者同士がネットでゆるく繋がる現代社会では、ちょっとした悪事が拡散されて大炎上したり、妬みから揚げ足を取られ、集中砲火を受けて追い落とされる事例に事欠かない。
でも、清志郎は教えてくれていたのだ。
そんなの関係ないんだぜ、と。